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東京・銀座に”市中型の免税店”がオープン
空港型免税店が東京・銀座にオープン
昨年2015年(1月~12月)の訪日外国人旅行者数は、過去最高の1,973万7千人を記録。出国する日本人の数を45年ぶりに逆転するカタチになった。そして2016年もはや1ヶ月を経過。2月は中国の旧正月休暇となる春節を迎えるなど、さらなる訪日客が増える傾向にある。そのなか1月27日、東京・銀座に”市中型免税店”となる「Japan Duty Free GINZA」が、国内商業地の中心となる中央区銀座4丁目交差点角に建つ、銀座三越店の8階全フロア(約3,300m2)にオープン。高級ブランド・ショップをはじめ、化粧品、酒類やたばこ類、そして日本ブランドの商品や伝統工芸品など、空港免税店と同様の免税メリットとなる”DUTY FREE”が登場。同様免税店がある沖縄についで国内2店目となる。
免税店といえば日本を出国する外国人や日本人が国内商業施設や空港内などで購入した商品を対象に、税金分が免除される仕組み。免税範囲については消費税が免除される”TAX FREE”と、消費税はじめ、関税や酒税、たばこ税などが免除される”DUTY FREE”からなる。いわゆる一般店舗とは異なる保税売店となるもので、出国手続きを済ませた後で購入する商品が、このDUTY FREE扱いとなる。通常は空港の免税店で購入のところであるが、品揃えが整う街中店舗での購入と商品を携帯せずに観光でき、かつ商品を空港で受け取るという旅行者と店側双方にとりメリットのある「市中型免税店」の設置が待望されていた。
事業構成は百貨店の(株)三越伊勢丹ホールディングス(出資比率27.5%)、羽田空港のターミナル運営をおこなう日本空港ビルディング(株)(同45%)、成田空港運営会社の(株)NAAリテイリング(同27.5%)の三社出資による資本金4億9千万円。その名も三者名を合わせた「株式会社Japan Duty Free Fa-So-La三越伊勢丹」(山本兵一社長)が担う。
*日本の自然を表現した店内
店内デザインは、日本の自然にある「森・丘・集落」を意識したインテリアデザインに。店内の柱を白い森の木をイメージしたり、柱の一部やベンチに木目模様を採用。本館と新館との階段(段差)を丘に見立てる一方、各分野の商品コーナーを集落とするなど、回遊性に配慮している。18ブランドからなるカラフルな化粧品コーナーを除けば、シンプルな和を表現した他の商品売り場と高級感のある店内との印象に。さらに江戸切子ガラス製品をはじめとする伝統工芸品や日本得意の高級デジタルカメラやオーディオ(ヘッドフォン)なども販売する。
9店舗からなる高級ブランド・ショップのエリアそばには、来店客に楽しんでもらう映像装置のインタラクティブ・ゾーンが備わる。周囲とは少し照明を落としたコーナーで、多様なパンチが組み込まれた複数の搭乗券型カードを円形テーブルの上に置くと、日本のモノづくりの紹介や銀座界わいをイメージする多様な映像が展開する仕組みになっている。
それぞれ高さが異なる装置にて、子供から大人まで体験できるゾーンになっている。
実際の商品購入は、パスポートと搭乗券ないし証明する書類をレセプション(受付)カウンターに提示。会計時に必要な名前などを登録するショッピングホルダーが発行されて、目的商品のコーナーで購入商品を選択と会計を済ませると、出発空港で必要になるバウチャー(輸出確認書)が発行。出国手続き後の空港内引き渡しカウンターで、バウチャーと交換で免税品となった購入商品を受け取る仕組みとなっている。今回の市中型免税店により、利用者には購入商品を携帯せずに観光が楽しめたり、銀座三越にとり他の売り場への回遊性向上にも結びつく。とくに国内外のお客で混雑していた従来からの化粧品売場の混雑緩和にも貢献。他方空港側にとっても従来以上に、多様な店舗展開や豊富な品揃えが可能になる。
ところで銀座三越では2010年新館の増床を機会に増える訪日旅行者のために、TAX FREEでの払い戻し精算カウンターを設けていた。しかしそれでは対応できないとの判断で2015年9月、購入商品のホテルや空港配送業務や観光案内所などのサービス機能を加味した拡大カウンターを地下1階に設置。それでも時期や時間帯によっては混雑する盛況とのこと。同時に三越伊勢丹ホールディングス・グループの三越日本橋本店ならびに伊勢丹新宿本店でも、すでにTAX FREEでの免税店も設置している。そのなか銀座界わいではすでに複数の他店免税店が営業しており、さらに3月には新規免税店も近隣にオープン予定など、国内屈指の免税店激戦区となりつつある。今回のように百貨店と空港との協業化により、日本製品や関連商品がより多く旅行者に購入してもらうのも”輸出扱い”にて、今後の拡大が期待される。
羽田空港に家電量販店も
免税店に関連した話題に、昨年12月には羽田空港ターミナルを運営する日本空港ビルディング(株)とカメラ&家電量販店の(株)ビックカメラとの間で合弁事業がスタートに。同港国際線ターミナルの到着ロビー内に、「ビックカメラ空港店」が近々オープンする。ビックカメラにとっては市中店に加えて旅行者が集中する空港ターミナルに店舗により、東京2020をも見据えた店舗展開をすることになる。
浜田拓郎