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昭和レトロの竜宮城に咲く、妖艶な和のあかりに触れる 昭和の竜宮城は百段階段と7つの個性部屋
2020年に向けた東京は、新国立競技場問題とともにホテルラッシュの真っ盛り、というのは多くのメディアで紹介されている通り。そんな新築・オープンの話題にあって、日本の伝統工芸や
華麗な日本絵画や彫刻が施されたクラシックな施設に、和の風情を表現した”あかり”とコラボした展示会を紹介しよう。その会場はJR山手線と都営三田線&東急目黒線が交わる目黒駅から徒歩4,5分の「目黒雅叙園」で開催中の、”和のあかりX百段階段展”。1935年(昭和10年)に総合宴会場として開業した目黒雅叙園は、流域のところどころで桜並木で親しまれる目黒川に面した緑の庭園敷地と傾斜地に沿って建つなか、ケヤキの階段廊下となる”百段階段(実際は九十九段)”と宴会場がある。開館当初から”昭和の竜宮城”と評価され、時空を超えた7つの宴会場が階段状に並ぶ。その豪華な装飾は桃山風であったり、日光東照宮の系列を汲む彫刻。さらに歌舞伎調の表現を奏でる天井など、当時活躍していた工芸や絵画の芸術家の指導のもと、多くの大工職人によって完成されたとのこと。80年も経過した建物は、東京空襲を免れた昭和の遺産としての希少価値が高い。そのため百段階段と7つの宴会場は、2001年国の登録有形文化財に。そして2009年に東京都の指定有形文化財に指定されている。その百段階段で、今月から8月9日(日)まで「和のあかりX百段階段」と題した特別展示が開催されている。
*猛暑を忘れる暗闇の絵画とあかりの鑑賞
美術展示といえば、設備や環境の整った美術館にファンが出向くところだが、ここ百段階段と7つの個性ある部屋で日本文化の伝統美を表現している施設は珍しい。展示会場ごとにそれぞれ関わった作者名や表現テーマに因んだ部屋名からなり、施工当時になどに活躍していた名工たちによる、木造建築が揃っている。階段を上がっていく順番に・・・、
1、十畝(じっぽ)の間:荒木十畝作による、四
季の花鳥画が施される。
2、漁樵(ぎょしょう)の間:室内をすべて純金
箔、純金泥、純金砂子で仕上げた、太い檜の
床柱や天井などに精巧な彫刻が施されてい
る。
3、草丘(そうきゅう)の間:礒部砂丘による、
四季の花を表現した格天井や瑞雲に煙る松原
の風景が描かれている。
4、静水(せいすい)の間:自然のままの秋田杉
を床柱として使用するとともに、天井や欄間
に橋本静水画伯の手による絵が施されてい
る。
5、星光(せいこう)の間:板倉星光の作品で床
柱には北山杉を用い、欄間や格天井に四季の
草花が描かれる。
6、清方(きよかた)の間:美人画の大家と呼ば
れた鏑木清方による、天井や欄間部分に四季
の風俗美人画が表現されている。
7、頂上の間:最上階に位置する部屋で、シンプ
ルな表現からなる落ち着いた雰囲気の空間。
本間床柱は黒柿の銘木を使用するなど、清楚
な印象の部屋。
の、以上7つからなる趣のある空間が展開されている。
これに今回、日本各地の風情や祭り、文化に関係したアート作品を展示。しかもそれぞれにあかりを組み合わせた、妖艶で涼感を呼ぶ作品が展示されている。その一例が、”祭りのあかり”(青森ねぶた祭り)はじめ、”和紙のあかり”(美濃和紙あかりアート)。造形作家・川村忠晴氏による(草木のあかり)など、普段目にすることのない夏の風情や清涼感となる機会になりそうだ。百聞は一見にしかず。とにかく百段階段を上り下りしながら、暗闇に浮かび上がる126枚の日本画と12の日本のあかりにふれてみたい。
*開催期間:8月9日(日曜日)まで
*開催時間:日曜日~木曜日の10:00~18:00/金・土曜日の10:00~19:00
*入場料:1,200円
*問い合わせ:目黒雅叙園:
電話03-5434-3140
浜田拓郎
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