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東京・九州間の西鉄高速バスに個室シートが登場
LCC(格安航空会社)の登場や高速道路のネットワークで変化する国内移動や料金体系の多様化が進む一方、かってはブルートレインの牙城だった東京と九州間で姿を消すなか、高速バスの役割も変化しつつある。
そのなか1990年に運行開始以来、国内でも最大級の1,097kmを走行する西日本鉄道(以下、西鉄)の高速バス「はかた号」に、同社グループの高速バスでは初めての個室を備えた2クラス方式(運賃面で3タイプ)の新型バスが12月19日から運行を開始。年末年始の多忙期に東京・新宿西口バスターミナルと福岡・博多バスターミナル間を約14時間で結ぶ。はかた号の運行は1990年に西鉄バスと京王バスの相互運行でスタートしたが1999年より西鉄バスの単独運行となり、その後2009年より2階建てバスの三菱ふそうエアロキングでの運行を続けてきた。今回さらに乗客の利便性や快適性に配慮した、同じ三菱ふそうエアロクイーンのシングルデッカーを導入。車内の前方部分に個室タイプの”プレミアムシート”が左右2席づつの計4席。その後方に横3列の独立シートが6列(右端は4列)の16席となる”ビジネスシート”。そして最後列が女性専用の横4席(ビジネスシート)が配列される。 その第一印象は旅客機のファーストクラスと間違えそうな、高級感あふれるプレミアムシートそのもの。通路と座席部分には仕切りとなるパーティションが装備。オール本革製シートの採用もあり、個室感と高級感ならではの落ち着いた雰囲気を演出する。その構造は体格に合わせて調整可能な独立型のヘッドレスト。さらにゆったりした着座感を得られ幅50cmのシート部分とともに、ホールド感のある背面部と足元部分には電動のレッグレストが備わる。これに最大150度まで傾斜する電動リクライニング機構により、通常の睡眠に近いフラット感覚を実現する。加えて背面部には電動マッサージや座面部分の送風機能、背面ヒーターも備わり、季節を問わず乗客の好みに合わせたプレミアムシートならではの装備も整う。車内に備わるWi-Fiを通じて、備え付けのタブレットを無料で利用でき、インターネットや電子書籍などのコンテンツを無料で楽しめるのもミソ。もちろんパソコンの操作可能なコンセントも設けるなど、ビジネス環境も十分だ。
車両後方に備わるのが、高速バスでは一般的となる3列の”ビジネスシート”。プレミアムシートのような個室にはならないが、横の席とは夜間のみカーテンでの仕切りとなる。
シート構造は中央部にモケット地をあしらいつつ、左右に本革を用いる。座面幅は46cmで、前席とは95cmのシートピッチを確保。143度のリクライニング角を実現し、足元にはレッグレストも備わる。そしてコンセントやUSBポートも備わるので、Wi-Fi機能も含めてパソコンやスマホでのメール送受信も可能になっている。そのなか最後部に設けられたのが、4席からなる女性専用シート。一応アームレストが備わる独立タイプのものの隣の席とは接触タイプにて、窓際から埋まるのが一般的だろう。防犯面に配慮した最後部の女性専用席とともに、全席に非常用の防犯ブザーも備わるのも、夜行の高速ばすでは普及しつつあるのでありがたい。さらに長時間の乗車にも配慮した車内環境のために、空気清浄機も整うなど乗用車に準じた装備も整う。
運行ダイヤは毎日東京を21時に出発(福岡発は18時50分)。新東名高速道路をはじめ、伊勢湾自動車道、山陽自動車道などを経由して、翌日の10時前にJR小倉駅前などを経て、11時17分に博多バスターミナルに到着(東京着は9時25分)する、約14時間余りの行程。ちなみにその運賃は曜日や時期で異なるが東京・福岡間で、プレミアムシートが17,000~20,000円。ビジネスシートが12,000~15,000円。女性席は11,000~14,000円(別途、小児や障害者運賃を設定)となっている。時間・距離の観点からすれば飛行機の時間にはかなわないものの、かってのブルートレインにも負けないシートのリクライニング機能やブランケット、マッサージ機能などを加味すれば、新幹線との時間差や疲れも考慮すれば、納得の交通手段である。しかも程よくプライバシーが保たれるし、防犯面の装備など、夜間移動を求められるビジネス客や女性層などに今後とも親しまれるだろう。
「当社グループ初の個室シートは、専用の空気清浄機などを設置し、かつ本革製シートの採用など、これまで以上の安心してくつろいでいただける快適なプライベート空間を実現しました。そして航空機と変わらない乗り心地と、新幹線よりお求めやすい運賃設定により、幅広いお客様にご利用いただける”はかた号”にご期待ください」と語るのは、同社自動車事業本部営業企画部・高速事業課の高木晴行係長。今後とも幅広い利用者の期待に応えていくとのこと。
浜田拓郎
新宿西口と九州福岡の博多バスセンター間の
1,060kmを、約14時間で結ぶ。
車両後方に設けられたビジネスシート。
3列独立シートの16席と
最後部の4席独立シートは
女性専用シートが備わる。
ビジネスシートは、
本革製でリクライニング機能を装備。
コンセントやUSBポートも備わる。
車両中央右側に備わるトイレ。
車内に設置された、
Wi-Fiルーター。
4席分のプレミアムシート。
本革製シート。
電動リクライニング、背面マッサージとヒーター。
座面送風、電動レッグレスト(オットマン)が装備。
無料Wi-Fiサービスによる
タブレット利用もできる。
もちろん防犯ブザーも。
旅客機と同様の収納テーブルが装備。
LEDのスポットライトも装備。
旅客機顔負けのリクライニング機構。
ホテル並みの照明調整機能も備わる。
天井部分には空気清浄機。
そして防犯カメラも備わる。
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