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ホンダ、重希土類完全フリー磁石をハイブリッド車用モーターに世界で初めて採用
大同特殊鋼と本田は、ハイブリッド車用駆動モーターに適用可能な高耐熱性と高磁力を兼ね備えた、重希土類完全フリー(不使用)熱間加工ネオジム磁石を世界で初めて実用化し、Hondaは、今秋発表予定の新型「FREED(フリード)」に採用予定。
ハイブリッド車など電動車の駆動モーターには、世界最強の磁力を持つネオジム磁石が使用されており、今後、急激な需要拡大が見込まれている。ハイブリッド車用駆動モーターにおいて、ネオジム磁石は高温環境下で使用されるため、高い耐熱性が要求される。その耐熱性を確保するために、従来は重希土類元素(ジスプロシウム、テルビウム)が添加されてきた。
しかし、重希土類元素は世界的に有力鉱床が偏在し、希少金属(レアメタル)にも分類されるため、安定調達・材料コストの観点でリスクを抱えている。重希土類元素の使用量を低減することが、ハイブリッド車駆動モーター用にネオジム磁石を使用する上で、大きな課題の一つだった。
大同特殊鋼の完全子会社であるダイドー電子では、ネオジム磁石を一般的な製造工法である焼結工法とは異なる熱間加工法により、量産している。熱間加工法は、ナノレベルの結晶粒を高度に配向させることができる技術で、一般的な焼結磁石の10分の1程度の微細な結晶粒組織を得ることで、より耐熱性が高い磁石を製造可能としている。
今回、大同特殊鋼が熱間加工法の技術をさらに進化させるとともに、Hondaが駆動モーター開発の経験を活かし、磁石形状を見直すなど、共同で開発を進めてきた。そして、重希土類元素を全く使用せずに、ハイブリッド車用駆動モーターに適用可能な高耐熱性、高磁力を実現したネオジム磁石を世界で初めて実用化した。
さらに、Hondaは、この磁石に対応した新しいモーターを設計。磁石形状に加えてローター形状も見直し、磁石にかかる磁束の流れを最適化することで、重希土類完全フリー熱間加工ネオジム磁石をハイブリッド車用駆動モーターに採用可能とし、トルク、出力、耐熱性において従来の磁石を用いたモーターと同等の性能を達成しているという。
この技術の採用により、ネオジム磁石の適用拡大に際し、課題であった重希土類元素の制約から脱却したことで、その資源リスクを回避、調達ルートの多様化も図ることが可能になった。
今秋発表予定の新型フリードに搭載するハイブリッドシステム「SPORT HYBRID(スポーツハイブリッド) i-DCD」に、重希土類完全フリー熱間加工ネオジム磁石を採用するとともに、順次、新型車に適用を拡大していく予定だという。
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