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池史彦自工会会長の「失言」
池史彦自工会会長の「失言」
12月4日の夕刻、年末恒例の自工会記者クラブ記者らと自工会の懇親会が催された。そこでの池史彦自工会会長(ホンダ会長)の発言が業界内でさざ波を立てている。
東京モーターショーの話題で、池会長は、「東京モーターショーでは自動運転に注目が集まった。各社とも自動運転技術を出展していた。自動運転技術はそもそ もドライバーをサポートするための安全技術にもかかわらず、どこかのメーカーはステアリングのないクルマを出した。あっ、日産さん居たか・・・・」と話し たのだ。お酒の入った席でもあるし、まぁ、当人は冗談のつもりで言ったのだろうが、その話しを聞いていた記者はもちろん、とうの日産自動車関係者は心穏や かではなかったようだ。
日産自動車広報部にコメントを求めた。「あのような場でそういう発言をするのはいかがなものか!」(広報部)と強い不快感をあらわにしたのだ!
その場に参加していた人によると、「『いつものことだ』と呆れていた記者もいれば、ムッとしたメーカー関係者もいた」という。
自工会の釈明はこうだ。「モーターショーでは、『自動運転』がかなり注目を浴びていた。
自動運転技術は、ドライバーをサポートするための安全技術であって、ステアリングのないクルマを出しているメーカーさんがあったり、CMで『やっちゃえ』 というメーカーさんもあったり、各社は様々な考え方で自動運転に取り組んでいるのです。皆さんが(一足飛びに自動運転が実現するのではないかと)思ってい るほど、すぐに自動運転になるということではなく、自動運転にはまだまだ時間がかかるので、是非とも今後の動向を見守っていただきながら報道をしていただ ければと思っています」との趣旨の発言だったという。
国交省が定義している自動運転車の基準によれば、レベル4は「アイズ(Eyes)フリー」。
基本的にクルマの走行中に運転者は操作しない。日産が出展した「IDSコンセプト」はまさにレベル4を想定していた。この「失言」、クラブ記者以外の記者がいたら出ていたのかどうか。
- 池 会長●に12月17日の自工会会見で上記に対する見解を求めた。「また聞きで、大きな誤解と曲解がある。自動運転について誤った理解がある。我われは事故 ゼロを目指す。これはOEMメーカー全社の総意。自動運転の議論の出発点としての話を差し上げた。普及は2030年、完全に定着するのは2050年と言わ れている。そうした話の中で、「いきなりハンドルのないクルマがでてきたなぁ」と言っただけ。批判したのではまったくありません」の回答だったが、日産の 回答から推して、少なくとも受け止めた方は、池会長の意識とは乖離があったのは間違いないところだ。
取材・文/神領 貢(本誌編集長)
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