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三菱自動車、11月北米生産からの撤退を発表
三菱自動車、11月北米生産からの撤退を発表
三菱自動車は今年11月をもって、イリノイ州にある北米工場での生産を終了すると発表した。同工場はもともとクライスラーとの合弁事業ダイヤモンド スター モーターズとして1988年に操業開始された。その後、91年に合弁を解消。最盛期の2000年には年産22.2万台を生産した。が、2009年には1.85万台まで低下した。以下は相川社長の一問一答。
ブルーミントン工場でのRVRの生産を中止し、売却先を探す。 2005年まではクライスラー社向けにOEM供給もしていた。 14年には6.9万台まで生産か低下していた。累計生産台数は、325万台。全米41工場の平均年産台数は、27.4万台。ブルーミントン工場は40位の6.9万台となった。 UAWとは協議を開始。売却先を共同で探すこととして、近々、プレス発表する予定。 売却先が見つからない場合は、従業員への退職補償、設備の除却を適切に行う。
輸出による米国販売継続について。
販売への大きな影響はない。中期計画の内容も変わらない。決算への影響は、売却先があるかないかで変わるが、何らかの措置は必要。第一四半期決算への影響はない。
為替は影響したのか?
ドル高円安など為替の要因は入っていない。あくまでもいまの生産規模では工場の維持が困難なため。近年、生産が増加しているとは言え、絶対規模が少ない。ロシア向けが不振で年産5万台を切る可能性が見えた。米国市場が活況ないまは、売却先探しに有利。RVRのマイナーチェンジもキッカケのひとつ。現時点で、売却先の具体的な交渉相手はいない。UAWと一緒に探す。それ以上は言えない。 選択と集中の中で、三菱はASEANのインドネシアとフィリピンで生産していく。日本とロシアでもやっていく。生産を東南アジアに集約する。インドネシア工場設立により、インドネシア市場を主に狙ったMPVを生産する。 インドネシア製のMPVをASEAN域外に輸出する。フィリピンの工場でも域外向けに生産している。ASEAN市場のうち、フィリピンでは2割近く、インドネシアで1割近く、タイでは7%のシェア。 生産能力を増やすことで、シェア拡大は可能。 フィリピンは、引き続き市場が拡大。すでに50年間現地に根づいて生産している。現状の32万台から近いうちに50万台まで伸びる予想だ。インドネシアも委託生産から変更する。 タイは年間70から80万台の市場規模。200万台を生産している。
欧米に生産工場を持たないリスクは?
北米での生産を維持しようとしてきた。急激な増販が難しい。やれることはやってきた。 欧米に関しては、関税障壁が比較的少ない。日本や東南アジアから輸出しても競争力は維持できる。 TPPは関係ない。
1月から6月までの生産台数は?
2.7万台。 為替リスクは、常につきまとう問題。当面は大きな変動はないと思っている。年間10万台規模で全体に少ない。欧州については、別の観点から考えている。
岡崎工場、タイ工場の稼働率は上がるのか?
アウトランダースポーツ(RVR)だけなので、稼働率はこれからの話しだ。タイ工場は関係ない。 岡崎工場は25.6万台の生産能力がある。まだ1万台余裕がある。 国内生産のうち、輸出が5割を占めている。
グローバル販売台数が2014年度で109万台、今年度110万台の三菱自動車にとって、年産5万台以下の北米市場からの生産撤退はある意味、時間の問題だったと言える。欧米市場に対しては、日本、ロシア、ASEANからの輸出で対応する構えだ。国内市場でも存在感が薄れつつある三菱自動車。環境問題、自動化問題、安全問題などやらなければならないテーマは目白押し。果たして今後の生き残りに対して、どのような絵を描いているのか。単独での生き残りが難しい規模だけに、動向が注目される。
取材・文・写真/神領 貢(本誌編集長)
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