News
あからさまに記者差別する警察 不起訴にも「適正に捜査」と強弁
トヨタ自動車の元常務役員、ジュリー・ハンプさんが薬物密輸入の疑いで逮捕されたのが6月18日、なぜか容疑者が移送されるシーンを報道した媒体もあった。 19日には同社の豊田章男社長自らが会見を開き、「法を犯す意図はなかったと信じたい」と語り陳謝した。また、23日にはトヨタ本社をはじめとした関連個所に警視庁が家宅捜索に入ったとの報道もあった。続いて6月30日にハンプさんから常務役員辞任の申し出があったことが、同社から7月1日に発表される。そして、いくつかの報道によれば、送検後の勾留期限が切れる7月8日を待たずに「不起訴」「釈放」などの報道が始まり、8日、実際にハンプさんは、勾留を解かれた。
この間、記者は間断なく警視庁広報課に連絡を取り続けたが、「警視庁は23日、被疑者の関係箇所を本件容疑で捜索しました。ハンプ容疑者はオキシコドンを含む錠剤57錠を密輸した容疑で捜査中です。他の質問については捜査中につき回答できません」とのコメントを出したきり、その後、大マスコミが報道を続けたにもかかわらず、私を含めて記者クラブ加盟社以外には、「何もありません」の一点張りを押し通した。
さすがに雑誌担当の広報マンは気の毒がってくれたが、コメントはハンプさん釈放まで出ずじまいだった。本件が不起訴・釈放の顛末を迎えた後、釈放の事実はあったのか、不起訴になったことについて警視庁はどう考えるのか見解を求めた。
「7月8日と承知しています。」
「捜査は適正に実施している。」
もらえたコメントはこれだけだった。これが日本であり、日本の報道であり、日本の記者クラブ加盟社と警察の関係だと思うと本当に悲しくなってしまう。
取材・文/神領 貢(本誌編集長)