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あるホンダ営業マンのやるせないつぶやき。

2015.6.27

あるホンダ営業マンのやるせないつぶやき。

2013年秋に登場した新型フィット。お客様運転で試乗中に、途中の坂道で下がりギアが入らず
回転のみがあがる現象がでる。
なんだこれは?と社内は騒然となり、急いで戻って工場責任者に伝達。
その際にホンダのテクニカルセンターに電話し、症状を伝えると、すでに他から同じ現象が何件か報告されていることを知らされる。そのころ、テクニカルセンターはその前のNBOXの雨漏れの修理の件でいっぱいいっぱいだったはず。
発売、納車を行い、店舗でも3ヶ月前頃から予約を頂くお客様が増え、順調に納車は推移してくるも、納車帰宅の際に、途中でギアが抜ける現象の緊急電話がお客様から入る。
もしかしたらシフトレバーに触ってしまったかもしれないとお客様はいうので様子を見てもらうことにした。
しかし、営業スタッフの間では、やはり新商品だからリコールが出るかな?と予想する話しが出ていた。
もしかしたらシフトレバーに触ってしまったかもしれないとお客様はいうので様子を見てもらうことにした。
しかし早速10月24日にリコールの届け出。
やっぱりかというのが営業マンみんなの本音。
早速お客様宅へ電話したり、クルマの引き上げに行って対処させてもらったりの日々月続く。
リコール後の車はEVに入りにくくなってるとか
EVに入るときにかなりの失速感があるとお客様から指摘を受ける。
私たちも試乗車に乗ってその症状を確認する。
リコール2回目の後はだいぶ失速感もうすれ、EVも入りやすくなり、少しはマシになった感じがした。
しかしネットの掲示板ではまだまだギアが入らないとか、坂道でエンジン回転のみがあがってしまうとの書き込みが続く。

そういう掲示板を見ている人は、マイカーの症状が気になって今でも問い合わせしてくる人は居ます。2013年は本当にフィットのリコール対応に忙殺された。

年が開け2014年。2月10日、3回目のリコール届出。初めてミッションのテストプログラムが配布され、ダメ判定が出たらミッション交換せよとのお達し。OKならアップデートのみ。
しかし、この頃からマスコミで騒がれ、新規来店で検討のお客様はシビアになってくる。
「リコールは大丈夫なの?」と。
3回目のリコールではテストプログラムのほかミッションNG判定が出たクルマがある。
私の会社の試乗車もダメだった。
その後に納車したヴェゼルも相当調子が悪かった。実際ヴェゼルを納車した人は返品を要求し、他社のクルマに乗り換えたお客様もいた。

リコールに引っかかぅたミッションも手配がすぐ来る訳でもなく、それまでの間、代車貸し出しによる対応。お客様によっては燃費の差額の金銭を要求する人も居た。この問題の収束には2~3ヶ月かかった覚えがある。

そしてやっと終わったか~と気を抜くと7月10日に再度リコール。4回目。エンジンECUのアップデート。
ここでは何が変化あったか正直わからなかったが
新規のお客様は、さらに減少する。商談すら減ってきた。新規のお客様は「リコール」と聞くと、
なにか部品を交換しないとダメなんだろ?という先入観がある。商談時にリコールはクルマのアップデートのようなものなので、携帯電話などのアップデートやアプリのアップデートと一緒なんですよと話す。が、「そんなんでリコールなの?」と毎回毎回説明して、何とかお客様を納得させた。
しかし10月についに5度目のリコール。
フィライトコアの取り付けと、プログラムのアップデート。さすがに5回目は怒るお客様は多かった。
「俺のを早くやれよ!いい加減にしろ」
と何度言われたことか。
こっちもユーザーの届出をメーカーにしても部品が入ってこなかったり。注文の多いお客様に優先順位を付ける。クレームになりそうなお客様から予約を対応した。

また最近で危険と思われるのはタカタのエアバック問題。一体いつ部品が入ってくるか見通しが無いんです。
2ヶ月3ヶ月先なんて当たり前になるとおもいます。このエアバックは死者も出ているのに、メーカー、サプライヤーともに、危機感がまったく無いような感じがします。販売店側は毎日お客様からの問い合わせでアタフタしています。メーカー発のこんな現場の事情なんて知らないでしょうね。

マガジンX編集部注。このつぶやきはあくまでもホンダのある営業マンの印象です。ホンダ営業現場全体の話しを反映しているものではありません。が、マガジンX編集部にはたくさんの類似の反響が寄せられていることを付け加えておきます。


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