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ミドリムシ(ユーグレナ)をいかした、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化
年々深刻化する地球環境の温暖化や空気汚染。折しも先月末からフランス・パリで始まった”COP21”(気候変動枠組み条約第21回締約国会議)では、以前にも増して先進国と途上国との間で、規制や実行に関する
やり取りが活発になっている。そのタイミングに合わせたバイオディーゼル燃料の実用化の動きも本格化に。その一例となるバイオジェット・ディーゼル燃料プロジェクトの発表会が、12月1日羽田空港内にある全日空(ANA)の機体整備場で発表された。
プロジェクトリーダーでバイオ・ディーゼルとなる微細藻類の”ミドリムシ(学術名:ユーグレナ)”の研究開発から生産管理などを手掛ける、ベンチャー企業の(株)ユーグレナ(出雲 充社長・東京港区)。
発表会では2020年を目標に、国産バイオジェット・ディーゼル燃料での有償飛行と同ディーゼル燃料でのバスやトラックの走行を実現すべくユーグレナ社を中心に、2018年前半の稼働を予定する国内初の実証プラントが建つ横浜市。石油精製はじめバイオマスの技術のプラント建設を行う千代田化工建設。ユーグレナ以外のバイオマス油脂原料の国内調達を行う伊藤忠エネクス。そしてバイオジェット・ディーゼル燃料を利用する全日空と、ディーゼル燃料を用いるいすゞ自動車(2014年7月からユーグレナ社との共同研究で、”DeuSEL(デューゼル)”を使用した、いすゞ藤沢工場と最寄り駅とのシャトルバスが運行されている)からなる、異業種6者のコンソーシアムが形成された。発表会場の整備場には、ANAが世界で最初の運航会社となったボーイングB787ドリームライナーと、いすゞ自動車の中型路線バス用のエルガ・ミオが用意され、詰めかけた報道陣の熱い撮影や視線が行われた。画像左側のフレスコ内の緑の液体は、ミドリムシの培養液。沖縄県石垣島で培養から回収、乾燥などの作業が行われている。その際、燃料用と食品用のミドリムシ溶液は、別々に生産される。
画像右側のトレイは乾燥ミドリムシ。そして後方のビンには、航空機向けのバイオジェット・ディーゼル燃料と自動車向けのバイオ・ディーゼル燃料が展示された。
「2018年前半のプラント稼働と2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに実用化を目指すべく、プラントは横浜市などの協力を得て横浜市鶴見区内の京浜コンビナートにある、旭硝子京浜工場内に建設(敷地面積約9,000m2)。バイオ・ディーゼル燃料を利用される全日空やいすゞ自動車はじめ、多くの交通・輸送分野で貢献できるよう、今回プロジェクトに協力いただいた関係のみなさんに感謝しつつ、確実に”国産バイオ燃料計画”を推進していく」とユーグレナの出雲社長。因みに今回の投資額は30億円が投じられるという。今後のプロジェクトの推移を見守りつつ、地球環境保全の一翼に期待したい。
浜田拓郎
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