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ブリヂストン、天然ゴム資源「パラゴムノキ」の簡易病害診断技術を確立

2015.12.1

2015113001_01菌糸束  2015113001_02子実体

 

ブリヂストンは、将来にわたって天然ゴム資源の大部分を担う「パラゴムノキ」の病害である根白腐病を、簡単かつ迅速、また正確に診断する画期的な簡易病害診断技術を新たに確立した。これにより、「パラゴムノキ」の保護と天然ゴムの安定供給に貢献していく。

 

世界の人口増やモータリゼーションの進展に伴い、タイヤ需要は今後拡大が見込まれ、併せて天然ゴムの消費量も増加するものと予測されている。天然ゴム需要増加に対応するためには、「パラゴムノキ」の単位面積当たりの生産量を増やすことが必要だ。

 

世界の「パラゴムノキ」の栽培面積の9割以上が集中する東南アジアでは、土壌中の病原菌が原因で感染が拡大する根白腐病への対策が重要な課題となっている。現在、根白腐病の診断は目視で行われているため、検出精度が低く、また土を掘らないと診断できないことから、発見の遅れや誤診などが生じ、病害を蔓延させる原因となっている。そこで、2010年より当社は、インドネシア技術評価応用庁及び複数の大学と連携し、早期に病害を診断する技術の開発を進めてきた。

 

今回当社が確立したのは、LAMP法と呼ばれるバイオテクノロジーを応用した診断技術。これは、当社で解析した病原菌の遺伝子配列情報をベースに開発した試薬キットを利用することで、フィールドにおいても特別な装置を使うことなく、目視でも簡易で、病害菌の有無を確認することができる画期的な先端技術。本技術により、根白腐病の早期発見が可能となり、羅病木から健全木への感染拡大の抑制が期待される。また、知識や経験の有無にかかわらず利用可能な本技術を展開することで、被害の抑制やメンテナンスが容易になるなど、今後、農園管理 面においても多大な効果が期待できる。

 

今後、ブリヂストンはインドネシアや国内の大学との連携を継続、さらに強化し開発を推進すると共に、これらの技術の普及を通じて、「パラゴムノキ」の保護と天然ゴムの安定供給に貢献していくという。

 

根白腐病とは

糸状菌の一種であるパラゴムノキ根白腐病菌(Rigidoporus microporus,ネッタイスルメタケ)が引き起こす病気。根に感染し組織を腐敗させることで、樹木を枯死に至らしめる。感染初期の発見が困難。現状では抜本的な対策がなく、発症した場合、罹病部位の切除、薬剤処理により対処する。感染部位には、以下の写真のような菌糸束、子実体(キノコ)が現れる。