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六本木ヒルズでフォーミュラEマシンが公道走行 EVならではの大都市公道レースイベントが実現
昨年9月からはじまったFIAが管轄する、電気自動車レースの「フォーミュラE」。既存のフォーミュラ1がサーキットで競うレースと異なり、排ガスのない静かなモーター&走行音というEVならではの特長をいかし、
レースすべてが世界の大都市公道で開催される”市街地レース”を謳い文句に、初年度10都市11レースが開催された。レーシング用バッテリーと強力電気モーターの駆動力をいかしたレースは、フォーミュラ1にはない周囲に騒音を拡散させないEVレースとして、大都市中心部での開催を実現してきた。
このほど2シーズン目の開催を目前にしたのとレースを放映するテレビ朝日がある六本木ヒルズ横の”けやき坂通り”で、国内初のフォーミュラEの公道走行イベントが8月23日(日)に開催。国内初上陸ともなった本物フォーミュラEのマシンをはじめ、レース
を運営するフォーミュラEホールディングスCEOのアレハンドロ・アガク氏はじめ、自民党モータースポーツ振興議員連盟・会長の古屋圭司議員。さらにレースに参加する立場からのチームアグリ・プレジデントの鈴木亜久里氏。そしてレーシングドライバーの山本左近氏が出席しての、公道走行がけやき坂にて行われた。
アガクCEOからは、時代を踏まえた次世代環境型モータースポーツの開催意義とファースト・シーズンでの実績。そして今シーズンも引き続き世界の大都市での開催への期待とレースの充実が説明。古屋会長からは他のスポーツ同様の競技の意義と将来的な日本での開催の必要性。鈴木氏からは時代をとらえた環境対応型モータースポーツ発展に寄与するチーム対応などが述べられた。
そしてイベント最後を飾ることになったのが、国内初のフォーミュラEマシンのデモンストレーション走行が、山本左近氏のハンドリングにより実施。やかなカーブと勾配をもつけやき坂の約200mを3往復。沿道に詰めかけた観衆の熱い視線とカメラの放列が連なった。ブティクやレストランなどが連なるけやき坂での開催。マシンサウンドが特徴のフォーミュラ1の迫力はないものの、不特定多数の観衆が集まる大都市公道でのデモンストレーションに、集まった観衆からも開催歓迎のコメントも。大都市の魅力向上に積極参加・活動している森ビルとしても、制約条件は多いものの今後につなげる展開のひとつになりそうだ。公道走行後の記者からの質問に、山本ドライバーから「人が多く集まる六本木での開催に期待!」と回答があった。
公道レースならでは、観客・視聴者配慮の仕組みづくり
マシンとなるカスタムカーは初年度が、SRT_01Eが全チームに貸与されたワンメークレースであったのに対し、これからはじまる2シーズン目以降ではチーム独自のパワートレイン搭載が可能になり、さらなる技術競争とレース構築がヒートアップしそうだ、
最高出力200kw(270pbs相当)、0→100kmが3秒。最高速度は225km/hを発揮する。そしてレースを盛り上げるポイントとして、「オーバーテイクシステムの”FAN BOOST”」を採用。市街地走行ながら、限られた道幅やコーナーなどでの接戦を盛り上げるために、観客&視聴者からお気に入りドライバーへの”応援投票”をオンラインで実施。得票数の上位3位のドライバーには、レース中にエキストラパワー(1回あたり30kw(40.5bps))を使える権利が与えられるもので、観客・視聴者にとっても参加意識がもてる応援システムとなる。さらに「エネルギーマネージメント戦略」と呼ばれる、チームのレース展開のマネージメント展開。エネルギーの消費が早いバッテリー搭載にて、ドライバーはレース中かならず1回ピットインして、セカンドカーに乗り換えるレギュレーション。乗り換えのタイミングは、バッテリーの残圧やFAN BOOSTの戦略次第であり、単なるスピード競技のみならず、エネルギーマネジメント能力も要求される。そしてコースサイドではDJブースを設けるなどして、サーキットカフェともどもレースを盛り上げるという都市開催ならではのメニューも備わる。
今シーズンの開催は、10月17日中国・北京から第1戦がスタート。初年度と同様の11戦の開催が予定される。
バッテリーとモーターを動力とするフォーミュラEのさらなる開催内容を高めるためにも、より多くのファンを増やす必要がありそうだ。今回のイベント開催で日本でのレース実現に一歩近づけば幸いだが、開催のためのスポンサー確保がオーバナイザー、テレビ放映にとって必須条件。さらに固定ファンの囲い込みを考慮すれば、昨今減少傾向の若者の海外旅行体験を促す意味で、開催都市同士も協力する関係や安い航空運賃で移動ができる地域のLCC(格安航空)のネットワークづくりやホテルを合わせた都市観光の要素も入れるのも、フォーミュラEの競技品質とブランド構築のためにも今後の工夫かも。
浜田拓郎(撮影協力:村上元昭)
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