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自賠責あり方懇で、返せ!6072億円。
自賠責保険については、加入者負担の軽減と、交通事故被害者救済の充実という二律背反の中で、持続可能な仕組みをどのように維持していくのかが、いつも議論になる。世界でも例を見ない日本の自賠責保険を破綻させずにやっていくのか今回も多くの意見が出た。一般会計に貸し出されたままになっている6072億円と、自動車事故対策機構の役割にも話しが及んだ。議論の一部をご紹介したい。
田端浩自動車局長です。
未だ多くの方が交通事故で亡くなっている。重度後遺障がい者が毎年1700名にのぼる。
被害者保護と事故発生の抑制に取り組んでい
く。
広く意見を賜りたい、と挨拶した。
運用益事業は今年度162.2億円を使っています。前年度比1.5億円減らしたとしますが、本当にも必要なお金なのかどうかについては、自賠責保険加入者が目を光らせなければなりません。
昨年度、無保険車、轢き逃げによる事故被害者に対する支払い保障金額は14億6300万円でした。
発言者は声を小さくして、支払い額は減っています、と話しますが累積金額は増える一方です。お金を加害者から取り返すのは簡単ではありませんね。
轢き逃げ、無保険車の被害者に対する補償も自賠責保険から拠出されています。互助の精神から言えば、保険に入っていない加害者が犯した事故被害者の救済を保険で行うのは議論があって良いとも思います。特に加入者の保険料が決して小さくない現状を考えると。
が、被害者救済をなおざりにはできません。
自動車会議所の委員からは、消費増税などで大きな負担増を背負う自動車ユーザーの理解が得られる仕組みとすべき。一般会計に貸し出されたままになっている繰入金6072億円が返済されないままの一昨年の値上げはおかしいとの主旨です。
平成28年度までに全額返済されるべきとしました。
被害者団体代表の桑山委員です。
被害者保護にお金を使ってもらいたい。繰り戻し金を活用して欲しい。
自動車総連の相原会長です。
運用益事業の使途については十分な精査が必要。有効な事業の開発を行っていくべき。
運用益を取り崩している現状では、事業の健全性がない。
国交省は財務省に対して、具体的な金額ベースで道筋をつけるべき。
ドライバー啓蒙や盗難車への取り組みも重要。
赤塚 元立教大学教授です。
様々な縛りの中で誠実にやって欲しい。被害者本人、介護する家族の高齢化問題。一年経てば一歳歳をとる。被害者と家族の生活実態をもっと知って欲しい。もっとやることはないだろうかと考えて欲しい。
都市経済研究所の福井主任研究員です。
被害軽減ブレーキなどが普及してくると、交通事故や被害者が減ってくる可能性がある。
平成4年をピークに死者が減り始め、平成16年以降、事故発生件数やケガ人が減っているのはなぜか?
国交省担当者からは、クルマの安全対策が進んできたからとします。
興味深い資料がありました。昨年度JNCAPの予防性能アセスメントで評価されたクルマは37台でした。
資料を見ると、衝突被害軽減ブレーキで、点数が高かったのはカメラを使ったものでした、レーザーレーダーやミリ波は、点数が取れていませんね。衝突軽減ブレーキ試験については、現行の対車両に加え、2016年度から対歩行者試験を実施すると説明がありました。
なお、今年度からは後方視界情報提供装置のアセスメントも始まります。
あり方懇終了後に、国交省の担当者と立ち話。
自賠責保険の積立金を取り返す問題や、轢き逃げ、無保険者加害者に対する立替金回収、積立金を取り崩しながらの運用益事業の精査などを改めてお願いしておいた。
ユーザーは多くの負担に苦しんでいると。
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