スクープ
2004年10月

 セレニティ  日産
 ルノーと共同開発中の最上級FFツアラ セレニティ始動

 スクープ班が捕らえた1台のワゴン。当初その正体はナゾだらけだったが、勢いに乗り始めた日産のCIエンブレムをフロントノーズに見つけた。
 ステージアと同サイズながら、スタイリッシュ路線の香りが漂うこのクルマを、詳細図面とともに完全独占スクープ。

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03年東京ショー出品車
「凛とした静けさ」を意味する車名が示すように、「和」のテイストがふんだんに取り入れられた6人乗り次世代マルチ・パーパス・サルーン。数々のIT装備も搭載されていた。
デザインセンス光る丸いヒップラインとトライ繰り返した縦長ガラスルーフ実現

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世界初スクープのセレニティ市販版。台形クォーターピラーとルーフへと回り込むハッチゲート開口部、そしてムラーノゆずりの丸いヒップが魅惑的な後ろ姿を作り出している。

 ムラーノを皮切りに05年1月発表のノートまで、日産は立て続けにニューモデル6車種を国内デビューさせる。10月1日からは中期経営計画「日産180」の公約のひとつでもある『全世界での販売台数100万台増』のカウントも始まっており、メーカーとディーラーが一丸となって目標達成に向けて取り組んでいる。

 すでにゴーン社長が「日産180」に続く次の中期計画「日産バリューアップ」の概要を発表しているとおり、赤字体質からの脱却を図った同社は利益が確保できる企業として、その体質を盤石のものにしていく狙いだ。本誌では「日産バリューアップ」スタート後に最初に投入される国内向けニューモデルの新型セレナを過去にスクープしたが、今回はそれに続くであろうクルマを独占捕獲。デザイン検討が進められている秘蔵の新型車を暴露する。

 イラストで示したように、このクルマのポイントはリアビューのデザインにある。ムラーノで「デザインをシフトする」と宣言した同社らしく、このワゴンでもデザインセンスの良さを見せつける。具体的には大きくラウンドしたハッチゲートによってセクシーな後ろ姿が作り出され、フェンダーへと至るコンビランプがワイド感を強調。また、ハッチゲートそのものはサイドだけでなく、ルーフ側へも回り込むことで広い開口部が確保され、「デザインを優先すると実用性がおろそかになる」といった批判を未然に防いでいるのが印象深い。クォーターピラーは安定感のある台形をモチーフにデザインされており、丸みを帯びたハッチゲートともども、ムラーノからゆずり受けている要素が多いことにも気付かされる。

 しかし、これだけにとどまらない。ナント、ルーフには日産がコンセプトカーで繰り返し採用してきた縦長ガラスルーフを装備。開口部の大きい大型サンルーフやツイン・サンルーフなど、室内に明るさと開放感をもたらすサンルーフは過去にも見られたが、これほど斬新なガラスルーフが市販車に用いられるのは珍しい。先行公開されたラフェスタのルーフにも大面積のガラスがハメ込まれているが、こちらは両サイドにガラスが埋め込まれるため、より乗員の頭上に近い所で開放感が演出される。もちろん、強い陽射しを遮るための電動サンシェードも備わるに違いない。

 ところで、この新型車は日産ラインナップのどこに位置するのか。現状、日産はステージア、プリメーラ、アベニール、ウイングロードといった4つのステーションワゴンを販売しているが、スクープ班ではプリメーラの上に位置する最上級FFツアラーとして投入されるのではないか、と予想する。キャビン、ラゲッジスペースともに余裕ある空間を確保すべく、ラフェスタから実用化が始まるCプラットフォームを流用か―こんな分析を続けていく中、1台のコンセプトカーがスクープ班の脳裏をよぎった。
05年東京ショーで会える立体駐車場にも入庫可能な
4800mm×1800×1500mm

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フロントにはウイングロード似の異型ヘッドランプが備わり、リアと呼応するかのように丸みのあるノーズ形状が与えられる。グリルは格子状にデザインされ、格調高い雰囲気を演出。

 捕らえた新型車についてスクープ班が調査を続けたところ、大まかなボディサイズが判明した。その数値は全長4800mm×全幅1800mm×全高1500mmで、現行ステージアより15mm長く、40mm幅広い。ただし、全高はステージアより10mm低い。一方、プリメーラ・ワゴンの寸法は4675mm×1760mm×1480mmだから、明らかにこの新型車のほうがひとまわり大きいのがわかる。

 この堂々としたボディサイズをつかんだスクープ班は、03年東京モーターショーに参考出品されたコンセプトカー「セレニティ」を思い出した。セレニティはスポーツ・ラグジュアリー4ドアとミニバンを融合させたクルマで、ストレスフリーに重点の置かれたインテリアが自慢。FF方式のプラットフォームに3.5リットルV6の大排気量エンジンが搭載され、いわばプレサージュのロードツーリング版といったテイストが創作されていた。

 よくよく観察してみると、扇をイメージしたウインドウ・グラフィックスや後ろ下がりのルーフラインは今回キャッチした外観にも見られる。ちなみに、セレニティのボディサイズは4700mm×1780mm×1550mm、ホイールベースは2900mmと、これまた存在感のあるディメンションだ。以上のことから、捕らえたクルマはセレニティ市販版ではないか、とスクープ班ではにらんでいる。ただし、ショー出品モデルが3列シート車を想定していたのに対し、市販版は2列シートでの開発が進められている点は大きな違いとしてチェックしておきたい。

 フロントマスクには目新しい輪郭のヘッドランプと格子状のラジエターグリル(これまたムラーノゆずり)がおごられ、質感の高い雰囲気がかもし出される。ノーズ先端のアールも強く、ハッチゲート同様、丸みのある柔らかな造型に仕上がるようだ。また、ランプ・ユニットがフェンダー上面へと至るのは弟分ウイングロードから継承されるデザイン処理だ。

 まだまだ開発途中段階のセレニティだが、いずれ日本もしくは海外のモーターショーでコンセプト版から一歩進んだプロトタイプが先行披露されるだろう。発売はズバリ、06年が有力か。

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個性的なヘッドランプはラフェスタのものに似ている。バンパーには丸型フォグランプと横長エアインテークが設けられる。

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上から眺めるとボディ四隅が大きく削られ、角丸にデザイン処理されているのがわかる。サイドウインドウのタンブル(しぼり込み)は標準的な範囲にとどまる。縦長ガラスルーフも見逃せない。

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丸みを帯びたリアコンビランプは両端に配され、ワイド感を強調。エキゾーストはバンパー左下から顔を出す。
プリメーラ

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ステージア

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コンセプトカーではおなじみのガラスルーフ
 日産は数多くのコンセプトカーに縦長ガラスルーフを用い、開放感の高さをアピールしてきたが、これはショー会場を訪れるボクらが室内を確認しやすいというメリットも兼ねている。現行プリメーラのコンセプト版「フュージョン」(2000年パリサロン出品)を筆頭に、やはりパリサロンで公開されたばかりのノート欧州版「トーン」にも採用されていた。後でで詳しく解説するラフェスタにパノラミックルーフが装備されるのは周知のとおりだが、実用化が検討されている縦長ガラスルーフはそれ以上の魅力を備えている。
フュージョン

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クエストコンセプト

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ビーライン

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デューンホーク

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トーン

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キャシュカイ

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レディゴ

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エフィス

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