ムラーノを皮切りに05年1月発表のノートまで、日産は立て続けにニューモデル6車種を国内デビューさせる。10月1日からは中期経営計画「日産180」の公約のひとつでもある『全世界での販売台数100万台増』のカウントも始まっており、メーカーとディーラーが一丸となって目標達成に向けて取り組んでいる。
すでにゴーン社長が「日産180」に続く次の中期計画「日産バリューアップ」の概要を発表しているとおり、赤字体質からの脱却を図った同社は利益が確保できる企業として、その体質を盤石のものにしていく狙いだ。本誌では「日産バリューアップ」スタート後に最初に投入される国内向けニューモデルの新型セレナを過去にスクープしたが、今回はそれに続くであろうクルマを独占捕獲。デザイン検討が進められている秘蔵の新型車を暴露する。
イラストで示したように、このクルマのポイントはリアビューのデザインにある。ムラーノで「デザインをシフトする」と宣言した同社らしく、このワゴンでもデザインセンスの良さを見せつける。具体的には大きくラウンドしたハッチゲートによってセクシーな後ろ姿が作り出され、フェンダーへと至るコンビランプがワイド感を強調。また、ハッチゲートそのものはサイドだけでなく、ルーフ側へも回り込むことで広い開口部が確保され、「デザインを優先すると実用性がおろそかになる」といった批判を未然に防いでいるのが印象深い。クォーターピラーは安定感のある台形をモチーフにデザインされており、丸みを帯びたハッチゲートともども、ムラーノからゆずり受けている要素が多いことにも気付かされる。
しかし、これだけにとどまらない。ナント、ルーフには日産がコンセプトカーで繰り返し採用してきた縦長ガラスルーフを装備。開口部の大きい大型サンルーフやツイン・サンルーフなど、室内に明るさと開放感をもたらすサンルーフは過去にも見られたが、これほど斬新なガラスルーフが市販車に用いられるのは珍しい。先行公開されたラフェスタのルーフにも大面積のガラスがハメ込まれているが、こちらは両サイドにガラスが埋め込まれるため、より乗員の頭上に近い所で開放感が演出される。もちろん、強い陽射しを遮るための電動サンシェードも備わるに違いない。
ところで、この新型車は日産ラインナップのどこに位置するのか。現状、日産はステージア、プリメーラ、アベニール、ウイングロードといった4つのステーションワゴンを販売しているが、スクープ班ではプリメーラの上に位置する最上級FFツアラーとして投入されるのではないか、と予想する。キャビン、ラゲッジスペースともに余裕ある空間を確保すべく、ラフェスタから実用化が始まるCプラットフォームを流用か―こんな分析を続けていく中、1台のコンセプトカーがスクープ班の脳裏をよぎった。 |