スクープ
2004年 2月

デミオ派生車 マツダ
MXマイクロスポーツ改めデミオ派生車のネーミング探る

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2リットル直4+6速MTはショーだけの演出
市販時には1.5リットルエンジン搭載

MXマイクロスポーツをベースに、市販版デミオ派生車のエクステリアを予想。大きく張り出した前後フェンダーは5ナンバー枠に収まるよう、適度にトーンダウンされる。バンパーも形状変更。

 1月のデトロイトショーに出品されたマツダ「MXマイクロスポーツ」。デミオをベースにした小さめのCセグメントカーで、ネーミングのとおり、このサイズでは最大級となる2リットル直4エンジンや6速MT、センター2本出しマフラーなどがおごられて武装したコンパクトHBだ。じつはこのクルマ、開発コードJ37Aとして市販準備が進んでいる。

 小ぶりなボディに2リットルエンジンとくれば、ホットな走りへの期待が高まる。しかし、市販版では動力性能、燃費、価格などのバランスに配慮し、デミオと同じZY−VE型1.5リットルDOHCエンジン(140ps)が搭載されることが判明。MTモデルの設定も見送られ、デミオと同じ4速ATになるという。マツダ的には、デミオとアクセラの間に投入するモデル、という位置づけらしい。開発陣の狙いはわかるが、少なくとも兄貴分のアクセラには5速MTも存在し、ショーモデルに「スポーツ」の名前を与えた以上、MCなどの機会をとらえてMT仕様の追加も望みたいところだ(アテンザ、アクセラともに追ってMTモデルが登場したため、同様のスケジュールに期待できるかも)。

 ショーモデルはなかなかの存在感を示していたが、市販版は5ナンバー枠を意識し、フェンダーに手が加えられて全幅が1700mm未満に削られる。表ざたにはなっていないが、ショーモデルではホイールの奥にスペーサーが組み込まれ、暫定的にトレッドが広げられていた。存在感の演出に貢献していた17インチホイールも、市販時にはおそらく15インチ程度にインチダウンされるだろう。

 「なんだ、ショーモデルと全然違うじゃん」とマツダを責める人もいるだろうが、いまの同社にとってはやむを得ないところ。最悪期を脱したとはいえ、最近は親会社フォードの屋台骨が揺らいでしまい、依然としてマツダを取り巻く環境は厳しい。いくら基幹車種4車(デミオ、アクセラ、アテンザ、RX-8)が出揃ったとはいえ、簡単にサイフのヒモを緩めて趣味性の高いクルマをリリースすることはまだ許されない。マーケティング主導で、ユーザーの目先を変えることが強く求められているのだ。確かにデトロイトショーに出品されたショーモデルには、リストラで仲間が減る中で孤軍奮闘する開発陣の気合いが込められていたが、そのまま市販化するのはかなりの冒険に近い。

 ただ、ヘッドランプとリアコンビランプはショーモデルからそのまま流用されるとの情報がある。ガラスエリアを広く見せるAピラーのブラックアウト塗装も、手っ取り早くデミオとの差別化を図る意味で継承されるかもしれない。一方、スポーツ色が薄まるのに合わせてバンパーは形が変更され、マイルドな表情になりそう。全体的なイメージは、コンパクトHBにSUVらしいデザインが組み合わされたイストを意識し、やや高めの車高と無塗装樹脂パーツが随所に採用される可能性が高い。

 先ほど述べた厳しい台所事情もあり、マツダ社内ではプロトタイプなしの開発が進められてきた。言うまでもなく、コスト削減と開発期間の短縮が狙いだ。実車のデキ映えが気になるものの、03年秋以降に組み付けられた設計確認車は、そのまま国土交通省の型式認証に使われるほどの完成度を見せたという。ちなみに、サスペンションの基本部品はデミオから流用されるため、フロントがストラット式、リアがトーションビーム式となる模様。パーツ流用、プロトタイプなしという厳しい条件下ではあるが、マツダ開発陣のチューニング能力に期待しておこう。

 さて、このクルマのネーミングだが、「MXマイクロスポーツ」はショー出品名にとどまり、市販版には別のネーミングが用いられる。スクープ班では:
●NEXAGE(ネクサージュ)
●AEGINA(エジーナ)
●VIANZA(ヴィアンザ)
●JAKE(ジェイク)
●AZUL(アズール)
の5候補をつかんだ。ただし、このうちネクサージュはプレサージュと似ているため、NEXART(ネクサート)が代替案に浮上しているとのウワサも。過去にシエンタやアクセラの名をスッパ抜き、2月号掲載のeKアクティブにも自信を持つスクープ班では、ヴィアンザもしくはジェイクが有力とにらんでいる。もっとも、社内では一旦ネーミングが関係者に公表されたものの、「情報の錯そうを狙ってか、変更されたらしい」との話もある。

 デビューは7月。1年後の05年初夏には1.5リットルリーンバーン(希薄燃焼)エンジンを追加搭載する計画もあり、すでに開発が始まっているようだ。リーンバーンはNOx処理が難しいが、どんな技術で排ガス規制をクリアするのか、興味深いところでもある。

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完成度の高いリアコンビランプはそのまま市販版にも踏襲か。センター出しのエキゾーストはオーソドックスな片出しとなり、ナンバープレート両脇に設置されていたLEDランプも取り払われる。
ショー出品車「MXマイクロスポーツ」

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