スクープ
2004年07月

 アイシス  トヨタ
ガイア改めイマジン(仮称)を経てISIS(アイシス)に決定か

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フロントノーズが平べったい印象のガイア後継ミニバン「アイシス」。トヨタ車らしい異型縦目ヘッドランプの下にはワイド感を強調するスリット状のグリルが配される。フロントクォーターの三角窓は採用が見送られたようだ。

 これまで本誌では仮称名の「イマジン」を用いてこのクルマを紹介してきたが、正式ネーミングの有力候補として浮上している「ISIS」を捕らえた。アイシス、イシス、イズイズなど、さまざまな読み方が連想されるが、音感の良さでスクープ班では「アイシス」ではないかとニラんでいる。今回の記事では、アイシスとして呼んでいこう。

 じつを言うと、アイシスというネーミングは01年にダイハツが商標登録を申請しており、03年4月に正式登録されている。本来なら、同じジャンルの商品に登録済み名称は使えないが、グループ企業のダイハツが登録しているのだから、トヨタにとって譲渡(買い取り)の交渉もスムーズにいくだろう。トヨタは過去に、スズキからソアラやクルーガーの商標登録名を譲り受けたこともあり、登録商標のやりとりは自動車業界に限らず、産業界ではごく当たり前のことなのだ。

 では、アイシスのフォルムに話を移そう。過去にイラストで紹介しているため、本誌読者にとっては違和感のないシルエットと言えそうだ。トヨタの他のミニバンと比べると、フロントノーズはやや平べったい印象を受ける。もっとも、異型の縦目ヘッドランプが“トヨタ流”をしっかりとアピールしている。ランプの下にはスリット状のグリルがボディ両端まで伸びており、隆起の少ないボディのアクセント役とワイド感の強調にひと役買っている。

 ボディサイドには、すでに報じたスライドドアが見える。商品上、ガイアとの最大の違いがココで、スイングドアから両側スライド式に変わるだけでなく、ラウムと同じ助手席側のセンターピラーレス構造も採用。タンブル可能な助手席シートも手伝い、抜群の乗降性を発揮するはずだ。スライドレールは目立たぬよう、プレスラインと同期させてある。このあたりのデザイン処理は、さすがトヨタだ。ちなみにアイシスは、現行ガイアの5ナンバーサイズを引き継ぐことが決まっている。この制約の中で目の肥えた顧客を満足させるため、床面を大幅に下げて室内空間を稼いでいるのだ。

 リアビューのイメージも現行ガイアとは大きく異なる。何となく腰高感が強いガイアと異なり、どっしりとした安定感とワイド感が印象的。ナンバープレート位置をバンパーからリアゲートに移設した効果も大きいようだ。コンビランプは横一線からウインドウ両端の縦型タイプへと変更。ターンシグナル、バックアップランプも含め、すべてのランプ類がここに収まっている模様だ。また、バンパー両端にはコンビランプと同じ幅のリフレクターが見えるが、市販時にはバンパー下部など別の場所に移されるとの情報もある。

 メカニズムは基本的にウィッシュからの流用となる。搭載エンジンもウィッシュ同様、1ZZ-FE型1.8リットル直4と1AZ-FSE型2リットル直4直噴D-4の2タイプ。前者にはオーソドックスな4速ATが、後者にはCVTが組み合わされる。どちらもFFと4WDからチョイスできる。さらに、2リットル車にはオーバーフェンダーやエアロバンパー、ブラック内装などを採用したスポーティグレードがラインナップされるのもウィッシュと同じだ。

 とは言え、さすがに後発だけにウィッシュをしのぐポイントもいくつかある。前述したとおり、床面を下げて室内空間を確保するのも、そのひとつだ。ガイアに比べて全高は10mmアップに過ぎないが、床面を下げることでノア/ヴォクシー並みの室内高を確保。1列目シートの頭上高はストリームやステップワゴンを15〜20mm上回るだけでなく、ウィッシュよりも55mm高い。3列目シートの頭上高もストリームやウィッシュの2倍以上だという。なお、3列目シートは前倒し式から、オデッセイやグランディスのような荷室床下に収まる反転収納式へと変更され、使い勝手が高まる。ちなみに、ボディサイズは4550mm(現行モデル比マイナス70mm)×1695mm(同+−0)×1650mm(同プラス10mm)。ホイールベースは50mm長い2785mmとなる。

 トヨタでは、ウィッシュとアイシスの違いを「スポーティ」と「実用性」とで線引きするようだ。確かに5ナンバーサイズを守り、両側スライドドアやセンターピラーレス構造、反転収納式3列目シートなどの便利装備を組み込むアイシスは、見た目より使い勝手を重視したり、自宅車庫の制約があったりするユーザーに受けそうな感触だ。価格は1.8リットルが180万〜198万円、2リットルが200万〜225万円となる見込み。ウィッシュに比べて1.8リットルモデルの底値がやや高いものの、全体的にはほぼ同一と考えて良い。春先から原材料価格が世界的に値上がりしており、自動車メーカーにとっては値上げしたいところだが、ユーザーの反応も気になり、なかなか難しいようだ。とくにアイシスのようなファミリー向けミニバンは、価格も重要な購入要素で、原材料の高騰分が転嫁しにくい、というのが正直なところだろう。
新採用のスライドドアを開けるとピラーレス大開口部が出現

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既報のピラー内蔵コンビランプが再確認できるアイシスの確定リアビュー。バンパー両端のリフレクターは市販時に取り払われるとの情報もある。ハッチゲートのグラマラスな面構成にも要注目。 すでに報じているとおり、ガイア後継ミニバンはラウム同様、助手席側のセンターピラーが省かれているのが最大のウリだ。

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じつはISISはダイハツが01年11月末に商標登録を出願している。
しかし、グループ企業ということもあって、トヨタが譲り受ける可能性が高い。
スクープ班がキャッチしたエンブレムは、どことなく「I」と「S」で構成されているかのように見える。これがアイシスに使われるかどうかは未定。
はみ出し情報 その1
過去に本誌が掲載したイラストと異なり、フロントクォーター(ドアミラー前方)にはウインドウが設けられずにガーニッシュが装着されている。
はみ出し情報 その2
ホイールベースは現行ガイアより50mm長い2785mmとなる。ナンバープレートの「868N」とは開発コード。
はみ出し情報 その3
ISISの記者発表日は9月28日に決まったようだ。店頭発表会は10月2&3日に開催される。


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