キメゼリフ「携帯空間」を引っ提げて99年8月に誕生した現行ファンカーゴは、リッターカー級ながら、床下収納式のリアシートを採用して広いカーゴスペースが作り出せる背高ワゴンとして登場。デビュー当初は早口のセリフが朗読されるユニークなTV‐CMも使われ、話題を呼んだ。前ページで紹介したプラッツとは誕生日もコンポーネンツも同じだ。しかし、デザインや機能性、販売店などは異なり、強いていえば二卵性双生児といったところか。そんなわけで、こちらは110Lの開発コードを与えられ、やはり05年8月にFMCで世代交代が見込まれている。
入手した情報を元にスクープ班が予想したファンカーゴのエクステリアは、これぞ全面改良といってもいい変貌ぶり。外観デザインは現行モデルよりシャープになり、ツルンとしたノーズは一転して角張った形状となる。あたかもbBとファンカーゴのDNAを1台に融合したかのようなデキ映えだ。
その変わり映えはサイドビューにも顕著に現れており、Aピラーは大幅に前方へ移されてドア前には新たに三角窓が設けられる。現行モデルはフロントウインドウとリアおよびクォーターウインドウが明確に分けられたデザインとなっており、キャビンとカーゴスペースの棲み分けが視覚的にも訴求されている。しかし、2代目ではフロントからクォーターウインドウまでが一体デザインとなり、洗練された外観に変わる。商用車っぽい雰囲気が一気に払拭されることも間違いない。
また、リアコンビランプはウインドウと同じ高さに収められ、先代ラウムのようなスッキリとした印象が強まる。もちろん、バックドアには使いやすく、個性的な横開き式が踏襲されるだろう。
エンジンは現行ヴィッツに先行搭載されている燃費重視の2SZ型1.3リットルに換装されるとともに、CVTも組み合わされ、10・15モード燃費は23km/リットル前後に改善される見込みだ。上級グレードの1.5リットルユニットも、シエンタから採用が始まった1NZ型の改良版に切り替わり、やはり同様にCVTとセット搭載されて10・15モード燃費は19km/リットル前後に達するだろう。
国内だけでなく、ヨーロッパでもヴィッツ・ファミリーのワゴン版としてヤリス・ヴァーソのネーミングで販売されている現行モデル。だが、欧州では意外にも人気が得られず、開発中の2代目は国内専売車となる方向だ。ただし、国内でいうスパシオ(現地名カローラ・ヴァーソ)が現地生産の専売モデルに切り替わったのと同じく、ヨーロッパ専用のヤリス・ヴァーソが別に開発されている可能性もある。いずれにしろ、2代目ファンカーゴは国内市場にターゲットを絞ることで、スタイリングの面でもさらに割り切ったものとなるはずだ。
興味深いのは投入される販売チャンネルだ。プラッツはトヨペット店とネッツ店で併売されているが、ファンカーゴはカローラ店とビスタ店で販売。5月にビスタ店がネッツ店に吸収統合される関係で、プラッツはトヨペット店専売となることが決まっている。一方のファンカーゴはそのままカローラ店と新生ネッツ店で継続販売されるため、ネッツ店の店頭には似たサイズ・似た形状のbBとファンカーゴが一緒に並ぶことになる。もしかしたら、ファンカーゴがbBに似たシャープなスタイリングに変わるのは、将来的には1車に統合されるのを暗示する狙いも含まれているのかもしれない。bB後継車との関係も含め、今後も調査を続けたい。
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