セレナゆずりのシャシーに得意のCVTを新採用か
ゴーン社長が来る前の低迷期から開発が始まっていたエクストレイルは、割り切った作りとハードに使えるノリのいいCMがウケてSUV市場で人気を集めた。その証拠に、デビューから5年が経過しているにもかかわらず、いまだ前年と同レベルの月販平均2500台をキープしている。RAV4やフォレスターといった同じマーケットのライバル車に比べて明快なイメージが打ち出せたことが成功を収めるカギとなったようだ。
その後、日産リバイバルプランを皮切りに同社の建て直しが進み、個性的な商品が送り出されてきたことは説明するまでもないだろう。そうなると当然、次に期待が高まるのが新型エクストレイルだ。もちろん、現行モデルが1代で築き上げた“ガンガン使える”コンセプトは踏襲され、高い実用性が受け継がれることは想像に難くない。
加えて現行モデルの弱点でもあった作り込みの不足も改善されるはずだ。インパネまわりは汚れても気にならず、かつ掃除のしやすい素材で仕立てられる。その一方でプラスチッキーで安っぽい印象が払拭されて質感の高さも演出。ペットボトルが冷やせるクールボックス兼用ポケットは人気装備のひとつとして新型モデルでも採用される見込みだ。
ボディ剛性や動力性能など、基本的なパフォーマンスも大幅に洗練される。なかでも大きなポイントとなるのがシャシーの一新で、ラフェスタやセレナに使われているCプラットフォームが用いられることで静粛性、ハンドリング、安全性など、あらゆる項目が進化を遂げる。
搭載エンジンは短命に終わったQR型からMR20DE型にバトンタッチを果たし、トランスミッションにはRAV4同様、CVTが新採用される可能性が高い。おかげで環境性能も一気に進歩すること、間違いなしだ。ただし、気になるのはターボモデルの設定で、旧態化しているSR型エンジンの環境性能を加味すると、FMCを機にラインナップから消えることも考えられる。
外観デザインは予想の域を出ないが、キープコンセプトのまま磨かれてアップデートされるだろう。プロポーションを進化させるためにもAピラーが前方に出されてキャビンスペースが拡大され、その拡大分は後席居住性とラゲッジスペースに充てられる。ラジエターグリルにはサファリや海外専売SUVに見られる3分割モチーフを採用か。縦2本の太いルーバーによって力強いイメージが放たれるかもしれない。
日産は先頃、擦りキズや引っかきキズが時間とともに復元する世界初のクリア塗料「スクラッチガードコート」を開発し、現行エクストレイルの特別仕様車で初めて実用化した。この試験販売を通じて問題がなければ、新型モデルでは大半のモデルに設定されるだろう。ラフロードやアウトドア・シーンでクルマを活用した後についてしまった小キズが時間とともに消えるなんて、まさにエクストレイルにピッタリの技術。カタログモデルではメーカーオプションのひとつとして掲載される可能性が高い。
若者のココロをうまくつかみ、縮小傾向にあるSUV市場の中で一定のポジションを築いたエクストレイル。その2代目がどんな進化を遂げるのか、コイツは要チェックだ! |