スクープ
2005年 8月

 シルフィ  日産
 デビューに先がけて実車披露 6ライトキャビンの“ティアナJr”

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11月デビュー予定の新型シルフィに世界初の大接近を果たした。涙目をトーンダウンさせたような個性的なヘッドランプ形状がマスクを印象づけている。ランプ上端にはフェンダーマーカーを兼ねる突起も。 ラジエターグリルとバンパー内エアインテークには細い横ルーバーが配される。また、バンパーサイドに設けられているメッキトリムはドア下方にも装着され、エレガントな雰囲気がもたらされる。

 テストコースに繰り出した新型シルフィの試験車両を捕らえたのは5月号。その後、7月号ではL字型ヘッドランプと横線基調のラジエターグリルを再現したイラストを掲載し、スクープ班ではCプラットフォーム採用の新世代シルフィを絶えず追いかけてきた。そして今回、東京モーターショーへの出品を前に最終のツメが行われている量産仕様に最接近を果たした。

 目と鼻の先で見たフロントマスクには、確かに上端が切り込まれたL字型ヘッドランプが備わっていた。しかし、それ以上に驚きなのが下端に涙目テイストの処理が施されており、単なる台形にとどまっていない点だ。写真では識別できないが、ランプユニット本体はフェンダーの造型を受け継いで前方向にも膨らんでいる可能性がある。ロービームはプロジェクター式なのか、細い円筒がハウジング内に見える。ハイビームはその内側(グリル寄り)、そして上にはターンシグナルとポジションランプが組み込まれているはずだ。年配ユーザーが多いことを見越し、フェンダーマーカーを兼ねてランプ上端に突起が設けられているのも見逃せない。

 ラジエターグリルとバンパー内エアインテークは横ルーバーで統一され、端正な顔つきが作り出される。また、バンパー端からボディサイドにかけてはメッキモールが装着され、さりげなく高級感も演出。ブースに現れる時の姿は下記に掲載しているので、再び幕張メッセにタイムトリップ!

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Cプラットフォームの採用に伴ってサイズアップが図られ、流麗なフォルムを生み出す6ライトキャビンが起用される新型シルフィ。ショー会場では市販予定車としてブースに展示され、前評判が高められる。

 3カ年計画「日産180」を終えて「日産バリューアップ」を推し進めている同社は今年、国内向けニューモデルが少なく、秋以降に6車種を立て続けに投入した04年に比べれば比較的おとなしい1年をすごしている。セレナ、オッティに続く新型車、ウイングロードは今回のモーターショーが閉幕する前に正式発売される予定だ。つまり、開幕時には参考出品車なのに、会期途中から市販車に“出世”する珍しい例なのだ。

 その後に続くのが、目の前のターンテーブルに飾られているMクラスセダンのシルフィだ。すでに「日産バリューアップ」が公示された時点でMクラスセダンの発売が告知されていたが、ここまで質感の高いセダンが現れるとは、正直、予想外だった。のびやかな6ライトキャビンと控えめなメッキの使い方は、まさに兄貴分ティアナから譲り受けている美点と言えるだろう。

 FMCを機にクラスアップを遂げるシルフィにはCプラットフォームが採用されるという。これは日産とルノーが共同開発したシャシーの第2弾で、ルノーではメガーヌ、日産ではラフェスタとセレナに使われて実績を積みつつある。ホイールベースが長くなるおかげで寸詰まり感が解消されるのは、確かに出品されている実車からも感じ取れる。これに合わせてキャビンも拡大されていて、前席、後席ともに居住性が向上しているはず。アリオン/プレミオと対等に勝負できるサイズへと成長しているのが印象深い。

 販売につながるよう、日産はティーザーキャンペーンを効果的に使うようになった。出品車のスペックを惜しまず公開しているのも良心的で、購入を検討しているユーザーには参考材料として役立つだろう。そのスペックによると、搭載エンジンはMR20DE型2リットルとMR18DE型1.8リットルの2種類がメインに据えられるという。ともに採用済みのエンジンだけど、シルフィが挑戦し続けている“日本でもっとも厳しい排ガス基準”はまだ達成していない。おそらくシルフィへの搭載に合わせて「平成17年排ガス基準75%低減(4ツ星)レベル」をクリアしてくるに違いない。それと、ラティオとの競合を避けるためにも低価格の1.5リットルはラインナップから消える方向にあるそうだ。

 ここ数回、日産は他社に負けず、市販前のニューモデルを東京モーターショーで先行公開してきた。マーチは開発コード「mm」の名称で出品されたし、モコ、ムラーノ、フウガ(出品時は「ー(音引き)」ではなかった)、仮称「Cノート」を掲げてブースに現れたティーダなど、数えるとキリがない。ショー会場での発表が正式リリースを兼ねていたルネッサのような例もあった。で、シルフィの場合はショー終了時まで参考出品車を貫き通し、11月下旬から年末の間に発売される。

 ところで余談だけど、ここまでシルフィがリッパなセダンに昇格したらプリメーラの立場がヤバイんじゃないの? 存続の危機すら抱くのはボクだけ!?
コンセプトカー・グラフィティ

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●プリメーラX〈89年〉
「速く快適に目的地へ」をキーワードに、90年に発売予定だった初代プリメーラのコンセプトを具現化したコンセプトカーが第28回に出展された。トランク開口部を広げるリアバンパー下降システムも採用。
●AQ-X〈93年〉
第30回に出品されたAQ-Xは全長4450mmのコンパクトサイズながら、キャビンスペースはシーマ並みを確保。フロアトンネルのないフラットな室内床面や希薄燃焼2リットルエンジン+CVT、Cd値0.28が自慢だった。
はみ出し情報 その1
現在の正式名ブルーバード・シルフィは11月のFMCでブルーバードが廃されて「日産シルフィ」へとネーミングが変わる可能性もある。


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