2005年　8月

新パッケージミニバン 　トヨタ 　07年発売の“トヨタ版オデッセイ”　ヒット中の本家を幕張で牽制す ↑zoom 低全高パッケージングや張り出したフロントフェンダーなど、オデッセイへの対抗心をムキ出しにした新型ミニバンはトヨタ・ブースの目玉に据えられる。サイドウインドウの形状はハリアー似。 　待ちに待った東京モーターショー。各メーカーとも力の入った出展物をブースに並べているのは言うまでもないが、朝一番、混雑する前にトヨタ・ブースに来たのはコイツが見たかったから。 　今回のトヨタ・ブースでもっとも注目を集めると前評判が高いのは新しいミニバンだ。下はシエンタから上はアルファードまで、同社はすでに多種多様な3列シート・ミニバンを取り揃えているが、新たに手がけているミニバンはパッケージングがウリだという。「ヒップポイントが高く、見晴らしが良くて室内フロアが真っ平らといった従来の概念を打ち破り、スポーティで走りが楽しめることに重点を置きました」とコンパニオンが説明するとおり、確かに地を這うような低く構えたルックスが精悍だ。 　ターンテーブルを取り囲んで見ている人みんなが薄々気付いているように、このミニバンはホンダの成功作、オデッセイを意識している。本来ならミニバンは居住空間が最優先されるはずなのに、あえて全高が立体駐車場に収まる1550mmまで下げられて運動性能も重視されたオデッセイが人気を呼んでいることは、今朝、会場駐車場のあちこちに停まっている点からも改めて感じた。 　この新型ミニバンは全長が4680mmとオデッセイより85mm短く、現行イプサムの4690mmとほぼ変わりない。もちろん全幅は3ナンバーサイズの1785mmに達していて迫力もあるし、全高はオデッセイを意識して1550mmに設定。トヨタは新型エスティマ、これもブースに並んでるようだけど、の開発時に「とてもオデッセイのような低さはマネできない」と社内で白旗を振ってたのに、別車種としてオデッセイ対抗車を密かに手がけていたとは抜かりない。 　フロントマスクからフェンダーにつながる張り出したパネル形状も、どことなくオデッセイを意識しているように見える。ただ、ヘッドランプを横長にせず、おなじみのツリ目に成形することでトヨタ車らしい顔つきが作り出されている。特徴的なのはヘッドランプ内側のプレスラインがバンパーまで降りて彫りの深さが強調されている点だろう。グリルとヘッドランプを横一直線にまとめてワイド感を演出しているオデッセイと大きく異なる部分でもある。 　ボディサイドではイプサムやハリアーを思わせる台形クォーターピラーが目を引く。これまたトヨタ車らしいデザイン処理で、「新型イプサムです」と紹介されても何ら違和感なく受け入れられそうだ。フロントフェンダーの張り出しがそのままキャラクターラインとして後方まで続いているおかげで、スピード感もうまく表現されている。 　搭載エンジンにはオデッセイと同じく2.4リットル直4が想定されている。トヨタの手持ちユニットで言えば、イプサムなどに使われている2AZ型が該当する。ただ、一説ではハイパフォーマンス仕様が開発されているとのウワサもあり、このミニバンの発売に合わせて世に送り出されるのかもしれない。 　ホンダのヒット作に襲いかかるトヨタ−こりゃ、まるで3年前の東京モーターショーを思い出させる展開だ。ホンダにとっては悪夢だったかもしれないけど、ちょうどストリームと同じスリーサイズを掲げてウィッシュが参考出品されたのも、ここ幕張でのことだった。07年2月のデビューが有力視されている新ミニバンが早くも公開されたことで、ホンダにとっては戦々恐々とした日々が始まるのかな。このバトルもトヨタが逆転勝利を射止めるのか、いまから開戦が楽しみだ。 コンセプトカー・グラフィティ ↑zoom ↑zoom ●FLV〈95年〉 95年（第31回）に出展されたラージ・ワゴン。車名は「フューチャー・ラグジュアリー・ビークル」の頭文字に由来しており、3リットルV6エンジンを搭載して市販される予定だったが、急きょ発売中止となった。 ●イプサム〈95年〉 発売前のクルマが正式ネーミングとともに披露された先がけ。室内には3列シートが配され、最後列はワンタッチで格納できた。ショーだけでなく、映画「7月7日、晴れ」でも発売前に出演した。 はみ出し情報 その1 トヨタ社内ではイプサムに再度MCを施す計画あり。上記の新型ミニバン発売と引き替えにイプサムは廃止される公算が大きいが、しばらく併売されてからフェードアウトするのかもしれない。 はみ出し情報 その2 新型ミニバンで低床フロアを実現するためにさまざまな技術が盛り込まれるようだが、 それらを紹介するカットモデルもしくは説明パネルもブースに並ぶ可能性あり。 ▲戻る