セレナ、オッティに続けて日産が国内でリリースする05年度ニューモデル第3弾が新型ウイングロードだ。7月号でも報じたように、この後に続くシルフィとモコのFMCも含め、日産は年度内に計5つの新型車をデビューさせる。
いまのところ表向きにはウイングロードとは公言せず「コンパクトワゴン」としか告知されていないが、既報のとおり、ウイングロードは10月にも生まれ変わる。その新世代版を本誌スクープ班が初捕獲。日産飛躍のチャンスも隠し持っているそのハッチゲートを、まずは本誌を手にしているキミに見て、開けてもらいたい。
白いゲートの左右で目を引くのがコンビランプの存在だ。現行モデルにも左右独立ランプは採用されているが、世代交代を機に鋭い形状が台形に変わることがわかる。また、質感の高さを演出すべく、マルチリフレクターによるキラキラとした表情がもたらされる。ランプ上側に赤レンズのテール&ストップランプ、下側のクリアレンズ部分にはバックアップランプが埋め込まれる。ターンシグナルはボディ側に設けられる見通しだ。また、ハッチゲート左下には車名エンブレムが装着されており、ウイングロードの名称が踏襲されることも確認できる。
さらに、ゲート下端に注目。波打っているように見える膨らみはバンパーとの連続感を生み出すためのスムージング処理で、スマートな後ろ姿を実現するカギとなる部分だ。ナンバープレートはオーソドックスにゲート中央に設置され、その上にはボディ同色ガーニッシュを装着。ガーニッシュ中央に見える黒いボタンは日産おなじみのインテリジェントキーのリクエストスイッチだ。
ここで見逃せないのがゲート開口部の低さだ。ナンバープレート位置からゲート下端までの形状と寸法を見る限り、かなり低い位置から開くことが想像できる。もしかしたら実用性の高さはノートを上回り、デミオもしのぐかもしれない。少なくとも開口部とラゲッジ床面がツライチに設計される掃き出しフロアは確実に採用されるだろう。
このほか、現行モデルと大きく異なる部分としてバックウインドウがゲート左右まで回り込む点も挙げられる。併せてリアクォーターピラーにはブラックアウト処理が施されてグリーンハウスの長さが強調され、ロングルーフと相まってスレンダーな印象がかもし出される。
新型ウイングロードで大きなニュースとなるのは何も外観の変貌ぶりだけじゃない。同時に行われるプラットフォーム刷新も運動性能、静粛性、安全性の向上に寄与するネタとして注目を集めそうだ。3月号掲載の第一報以来、ずっと報じてきたようにシャシーにはマーチ系と同じBプラットフォームが用いられる。このBプラットフォームには2種類の長さが存在するが、もちろん採用されるのはキュービックやティーダと同じホイールベースの長いほう(2600mm)だ。
そこで思い出していただきたいのが6月号でスクープした“お尻の腫れたティーダ”。クォーターピラーおよびリアオーバーハングが伸ばされて奇妙なプロポーションに変わっていたが、あれこそが新型ウイングロードの先行開発車両だったのだ。
シャシー一新に伴い、搭載エンジンもリニューアルされる。1.5リットルにはHR15DE型(109ps/15.1kg/m)が、1.8リットルにはMR18DE型(128ps/17.9kg/m)がそれぞれ起用され、環境性能にも磨きがかかる。2WD車はスムーズな走り味のエクストロニックCVTも搭載。一方、現行モデルのトップグレードでもある2リットルは価格が高く、需要も少ないために廃止される公算が大きい。
活動的なアウトドア派に嬉しい4WD車も継続ラインナップされるが、システムの刷新を忘れちゃいけない。マーチ・ファミリー同様、後輪が電気モーターで駆動されるe・4WDが起用されることで軽量化、低燃費化、静粛性アップが実現され、パッケージングへの影響も最小限に抑えられる。
社内コードK11Dが与えられている新型ウイングロードは6月上旬から生産試作が組み付けられており、開発作業は大詰めを迎えている。この後、7月中旬から8月にかけて最終試作での仕上げが行われ、品質確認を実施。9月中旬にはマスコミ対応などを目的とした先行生産車がラインを流れ、その後、同26日から量産が始まる。
ノートで競合車もビックリの低価格(120万円)を打ち出した日産だが、ウイングロードは140万円台からのラインナップとなり、現行モデルと同等の価格設定が行われる見込みだ。10月上旬のデビューを経て東京モーターショーで大々的にPR。一方、消費者とのコミュニケーション活動にも余念がなく、発売と同時にウェブサイトを通じてさまざまなキャンペーンも展開される予定だから、クルマと併せてこちらも忘れずに要チェック! |