ワンモーション・フォルムに身をまとった5ドアHBの衝撃スクープから早8カ月。またしても本誌スクープ班が新型シビックのナマ写真を独占入手した。今回キャッチしたのはシビック・シリーズの主役とも言える3BOXセダンだ。世界中で年間60万台が販売されてきたシビックは新型モデルに切り替わっても変わらずグローバル規模で売られるが、世代交代を機に各仕向け地に見合ったバリエーションが展開される。
シカゴショーで公開されたクーペは北米が、ジュネーヴショーで華々しくデビューしたHBはヨーロッパがそれぞれ主要マーケットに定められ、ボクら国内ユーザーが買えるのはセダンに限られる予定だ。現行タイプRと同じく、HBの輸入販売も検討されてはいるが、ひとまず9月の国内デビュー時にはラインナップされない。
見てのとおり、掲載写真はセダンを初スクープしたものだ。大胆に傾斜したAピラーからルーフへと続くシルエットラインをHBと共有しつつ、後ろ半分でセダン専用の流れるような流麗フォルムが作り出されている。クォーターピラーおよびバックウインドウの傾斜角はAピラーに引けを取らず、優れた空力特性の実現に貢献していることだろう。そして、セダンならではの短いノッチが設けられている点にも注目。フェリオのサブネームが与えられて以降、シビック4ドアには絶えずショートデッキが用いられてきたが、新型モデルでもその特徴が継承される。
新型シビックではオデッセイ同様、フロントフェンダーの張り出しがそのままボディサイドのショルダー面を構成するが、捕獲したセダンではリアフェンダー後端までフェードアウトせずに残されているのも読み取れる。ボディ後面のちょうど同じ高さにコンビランプが配されるが、フェンダー側で完結することなく、トランクリッドにまたがることも判明した。写真では水玉模様のように見えるが、もちろん、これは擬装によってマスキングされているため。実際には下に掲載したイラストのように、存在感あるデザインに仕上がる。
セダンを分析するうえで見逃せないのが後席の居住性と乗降性だ。この点においても、新型シビックは問題なさそう。例えば、先に触れたクォーターピラーはなるべく後ろ寄りの位置から傾斜し始めており、同じ国産ハイブリッドカーとして比較されそうなプリウスより広い頭上スペースが確保されているに違いない。また、ドア開口線は柔らかいイメージを演出する曲線を描いており、十分な開口面積を確保。ウインドウガラスの昇降しない部分(三角窓)が小さいのも後席乗員にとって嬉しい配慮と言えるだろう。
ボディ下方には幅広の黒テープが貼られているが、ここにはわずかに膨らんだ凸状のキャラクターラインが設けられる。ラインがドア部分にとどまらず、前後バンパーの側面にまで至ることはテープが貼られている点からも想像できる。ちなみにドアミラーはHBやクーペと異なり、高級感あるドア付けフラッグタイプとなる。
スクープ班が新型シビックをつかまえた場所は恒例の耐暑テストが行われているアメリカ・デスバレーだ。ちょうどクルマが(それともテスト部隊が!?)休息を取っている時に遭遇した。部隊は水色と白、2台のシビックに加えてアコード・ハイブリッドと北米オデッセイも並走車として引き連れていた。発売間近のシビックがデスバレーに現れたのは何ら不思議なことではないが、それより注目したいのはクルマがハイブリッド仕様であること。ガソリン車でなく、ハイブリッド仕様と識別できるのはリップ状のトランクスポイラーと、インサイトのそれに似たディッシュタイプのアルミホイールがおごられているから。どちらも、少しでも空力特性を改善して低燃費化を図りたい開発陣の思いが垣間見える装備アイテムだ。
ところで、今回テストカーを激写したことで市販版のフロントマスクもわかった。鋭い視線を放つ薄型ヘッドランプの起用はショーモデルでも暗示されていたが、高品位なイメージを演出するラジエターグリル内の太いメッキルーバーは未公開だった部分として興味深い。また、バンパーには逆台形エアインテークが配されてフロントグリルとともにワイド感を強調。
冒頭で述べたように国内向けシビックのボディタイプはセダンに絞られるが、搭載エンジンも1.8リットルi-VTECと1.3リットルハイブリッドの2タイプに集約される(下のコラム記事参照)。さすがのホンダもセダン不況には勝てないと読んでいるのか、やや淋しい展開となりそうだが、5代目スポーツ・シビック以降、FMCごとに獲得しているカー・オブ・ザ・イヤーを逃さないためにも、カッコよさの点でピカイチのHBをぜひ国内に導入してほしいネ。実現を願って、みんなでホンダにラブコールを送ろう! |