スクープ
2005年 6月

 ロードスター  マツダ
 テイスト異なる3パターンから選べる ロードスター右ハンドルの内装

 ジュネーヴショーで世界初披露された3代目ロードスターは海外での先行発売に続き、ここ日本では8月下旬に発売される。すでに左ハンドル仕様と英国向け右ハンドル仕様は公開されているが、スクープ班では国内量産モデルの詳しい内容をキャッチ。それによると、内装には3つのテイストが用意されることがわかった。

 内装パターンを見る前に、バリエーション展開をチェックしておきたい。グレードはベース車に相当する「ロードスター」、スポーツ色の強い「RS」、エレガント志向の「VS」、そして3代目デビュー記念車として全世界で3500台だけが販売される「3rdジェネレーション・リミテッド」の4つから選べる。新型ロードスターではベース車にも集中ドアロックやエアロボード、アルミ調インテリアパーツがおごられて装備レベルの底上げが図られる。

 では、新たに判明した内装テイストを紹介しよう。もっともロードスターらしいのがシンプルなブラック内装だ。ファブリックシートが備わり、メータリングやエアダクトリング、室内ドアハンドルなど、随所に採用されるアルミ調パーツがアクセント的な役割を果たす。このブラック内装はベース車とRSに設定されるが、RSではスピーカーリングとドアアシストグリップの上端もアルミ調となる。

 ノスタルジックな雰囲気に酔いしれたいならサドルタン内装がオススメだ。初代モデルで追加設定されて以来、“もうひとつのロードスター”としてオトナを中心に支持を集めてきた仕様だ。インテリア下半分がタン色にまとめられ、上質な本革シートが装備されているのも見逃せない。また、シートとドアトリムのステッチには太いものが用いられているのも心憎い演出だ。もちろん、ブラック内装と同じく、アルミ調パーツが備わるのは言うまでもない。サドルタン内装がラグジュアリー・グレードのVSだけでなく、RSでも9万4500円高で選べるのも新しいニュースだ。

 そして、世界中から注目を集めそうなのが3rdジェネレーション・リミテッドだけに採用されるレッド内装だ。その名のとおり、赤い本革シートが装備されており、古きよきライトウェイトスポーツを彷彿とさせる。併せてアルミ調パーツがブライト仕上げに変更され、ドアトリムのスイッチパネルがヘアライン調となるのもレッド内装ならでは。

 新型ロードスターは全車にMZR型2リットル直4エンジンが搭載されてパフォーマンスupが図られる。最高出力はMT車が170ps、AT車が166psで、最大トルクはともに1919.3kg-m。現行モデルの売れ筋でもある1.6リットルSP(210万円)には設定のないイモビライザーや16インチホイールが追加されながらも、ベース車は10万アップの220万円に値付けされる。

 6速MTやトルクセンジング式スーパーLSD、フロントタワーバー、ビルシュタイン製ダンパー、17インチアルミホイール、HIDヘッドランプ、本革巻きステアリング&シフトノブ、CDオーディオなどが加わるRSは30万円高の250万円で手に入る。

 また、先に触れたサドルタン内装が最大の魅力でもあるVSも同じく250万円で売り出される。こちらにもHIDヘッドランプや本革巻きステアリング&シフトノブ、CDオーディオなどが装備される。

 国内では500台だけが限定販売される3rdジェネレーション・リミテッドはレッド内装のほか、専用アルミホイール、専用クロームピラー&グリルガーニッシュ、6連奏CDチェンジャーを含むBOSEサウンドシステム&7スピーカー、クリアレンズのハイマウントストップランプといった特別装備もおごられ、RSより25万円高い275万円で発売。RSが有する走り重視のイメージをそのままに、プレミアム感あふれる内外装が与えられ、特別な1台として引っ張りだこになりそうだ。
レッドレザー内装

↑zoom
黒基調のインテリアに華やかな赤いレザーシートが組み合わされるレッド内装は、限定モデルだけにおごられる特別なパターン。内装のアルミ調パーツはブライト仕上げとなる。デビュー当初のみ手に入る貴重なモデルだ。

↑zoom

↑zoom

↑zoom
ドアトリムのスイッチパネルには専用のヘアライン調が採用される。 丸いエアダクトのベゼルはブライトアルミ調に仕立てられて差別化。 限定モデル専用オーナメントにはシリアルNoも刻まれる。
 
3rd ジェネレーションリミテッド
275万円

全世界で3500台、国内では500台だけが販売される3代目ロードスター誕生記念モデル。RSをベースに専用ボディカラーや専用インテリアが与えられてプレミアム感がかもし出される。
VS
250万円

内装とソフトトップがタンにまとめられ、本革巻きステアリング&パーキングブレーキレバー、アルミ調シートバックバー&スピーカーリング、フルオートエアコンなどが備わるエレガント仕様。
 
サドルタンレザー内装

↑zoom
ノスタルジックな雰囲気を味わいたい人にピッタリのタン内装。シートとドアトリムには他内装より太いステッチが用いられて上質感が演出されている。アルミ調パーツも採用。
オプション価格 9万4500円  
RS
250万円

シリーズ中、もっともハードスポーツに近いモデルで、ビルシュタイン製ダンパー、6速MT、トルクセンシング式スーパーLSD、17インチアルミホイールといったアイテムも装備されている。
ロードスター
220万円

オープン2シーターの醍醐味が手軽に楽しめるエントリーモデル。2リットルエンジンと5速MTの組み合わせで、集中ドアロック&キーレスエントリーやメッシュ状エアロボードも新たに装備。
ブラックファブリック内装

↑zoom
ライトウェイト2シーターにふさわしい色と素材が使われているブラック内装は、もっともロードスターらしいインテリアだ。アルミ調パーツとのコントラストも美しい。写真はスピーカーリングとドアアシストグリップ上端もアルミ調になるRSの内装だ。

↑zoom

↑zoom

↑zoom
フロントセンターも含む7スピーカー、ルーフのオープン/クローズに応じて自動的に切り替わるイコライザーが盛り込まれるBOSEサウンドシステムは全車にオプション設定。 アドバンストキーレスエントリー&スタートシステムはオプションで用意される。キー操作が不必要となり、乗り降り&エンジン始動がスマートに。 ステアリングにはロードスター初のチルト機構(調整幅32mm)も備わる。ホーンボタンを残してドーナツ状に展開するエアバッグもユニークだ。

 ポテンシャルに磨きがかかって操る楽しさが格段に高まるのも新型ロードスターの特徴だ。FR方式が踏襲されるのはFFやMRと異なって最適な重量配分が得やすいためで、2名乗車時に前後50:50が実現するのもセールスポイントのひとつ。

「重いものは中心に集め、高い所は軽くする」というキーワードの下、レイアウトも見直された。具体的にはエンジンセンターが135mm後方に移されたり、燃料タンクが110mm前方かつ120mm下方に移されるなど、確かに重量物が車両中央に移動している。これまでトランクルーム内に置かれていたバッテリーはフロントノーズに移設されており、車両の重心位置との距離が265mmも縮まっているのも見逃せない。このほか、前後バンパーの軽量化、ボンネットフードとトランクリッドのアルミ化、エンジン軽量化(現行モデル比マイナス19.1kg)、ラジエターの傾斜角変更による重心低下といった改良も織り込まれている。

 一般的にFR車はトラクションがかかった時に路面からの反力でリアデフが浮き上がる傾向にあるが、ロードスターはこれを防ぐためにデフをしっかりと保持するためをパワープラントフレームを初代から採用。また、軽量化を図るためにドライブシャフトには中空タイプが使われている。

 サスペンションはフロントが引き続きダブルウィッシュボーン式だが、リアにはマルチリンク式が新採用されている。ともに加減速時に挙動が変動するのを防ぐため、アームやリンクのレイアウトを改善。ブレーキは信頼性アップを狙ってブースター径が1インチ拡大され、ローターは厚みをそのままに外径が前後ともに大きくなる(フロントが290mm、リアが280mm)。

 トランスミッションで見落とせないのが6速MTおよび6速ATの新採用だ。MTはスポーツ走行に最適なクロスレシオに設定されており、1〜4速にトリプルコーンシンクロが使われてショートストロークが実現されている(RSとVSに設定)。一方のATも6速化されることで力強い発進加速と高速走行時の静粛性&燃費アップを両立。こちらはベース車とVSに用意されるが、後者には手元で変速操作が行えるステアリングスイッチも備わる。

 ロードスターの個性を存分に味わうなら、ソフトトップ改善によるオープン走行の快適性も忘れちゃいけない。新型モデルではトップに補助スプリングが採用され、運転席に座ったままでの開閉もラクに。また、オープン時の外観デザインが損われないよう、スッキリと収まるZ型に変更。風の巻き込みを抑えるための策としてボディサイドのデッキが高められ、適量な風を導き込むことで空気の流れを乱さないメッシュ状エアロボード、そして側方からの風を抑える三角窓が採用される。また、乗員の下半身を寒さから守るためにインパネ下面に空調ダクトが新設され、空調吹出しにはウエストモードも追加。

 原点でもある「人馬一体」の思想に立ち返って生まれ変わる新型ロードスター。ライトウェイトスポーツの歴史に新たな1ページが刻まれることは間違いないだろう。
簡単操作でスッキリ収まるZ型トップ

↑zoom


↑zoom

↑zoom


フロントサスペンション

↑zoom
リアサスペンション

↑zoom

↑zoom
しっかりとデフを支持してギクシャク感を抑制するパワープラントフレームは引き続き用いられる。中空ドライブシャフトの採用も見逃せない。
レイアウトの主な変更箇所

↑zoom

↑zoom

↑zoom
ベースモデルに継続搭載される5速MTはトルクの増強に対応すべく、内部構造を強化。 ショートストローク化された新開発6速MTはスポーツ走行に最適なクロスレシオ仕様だ。

↑zoom

↑zoom
10万円アップで選べる6速ATは、MTに引けを取らない発進加速性能と高速走行時の静粛性がウリ。VSではステアリングシフトスイッチもセット装着される。
全9色が揃う豊富なカラーバリエーション
ベロシティレッドマイカ

↑zoom
ギャラクシーグレーマイカトゥルーレッド

↑zoom
マーブルホワイトカッパーレッドマイカ

↑zoom
サンライトシルバーMノルディックグリーンマイカ

↑zoom
リリアントブラックウイニングブルーM

↑zoom
はみ出し情報 その1
新型ロードスターはAピラーが乗員側に90mm近づけられ、3度起こされて前方視界が向上。コーナリング時にもっともイン側に近づくポイントも見えやすくなる。
はみ出し情報 その2
ソフトトップの素材はベース車とRSがビニール、VSと3rdジェネレーション・リミテッドがクロス。ルーフドリップモール改善で雨垂れを対策。また、ウェザーストリップ形状の変更で遮音性も向上。
はみ出し情報 その3
上に掲載したボディカラーのうち、ベロシティレッドマイカは3rdジェネレーション・リミテッドの専用色。このほか、限定車の外板色はギャラクシーグレーマイカとマーブルホワイトに限られる。