スクープ
2005年 6月

 10代目カローラ  トヨタ
 200万円以下のHV仕様もラインナップ検討中 10代目カローラ カウントダウン開始

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シルエットは非常にオードソックスながら、L字型ヘッドランプやAピラー下の三角窓を得て洗練されるカローラ4ドア。シャシーには新開発MCプラットフォームが採用され、基本性能に磨きがかかる。

 テラン・セールスマンに「歴代カローラの中でも、とくに売れたモデルは?」と聞くと、FR方式最後のセダンとなった70系や、FFセダン2代目の90系を挙げる人が多い。そして、カローラのネーミングを廃止しようとまで考え、背水の陣でNCV(ニュー・センチュリー・バリュー)というキーワードの下、開発された現行120系もおそらく、よく売れたカローラとしてセールスマンの記憶に残るクルマとなるだろう。

 02年に初めて全世界での販売台数が100万台を超えたカローラ・シリーズは着実に不動の地位を築いている。国内ユーザーの平均年齢は59歳で「オジさんグルマ」の代表みたいに扱われるカローラも、欧州では55歳、北米では45歳と、とくに北米市場ではユーザー平均年齢の若さが目立つ。このように異なる需要およびユーザー層の要望に応えるためにも、先代110系から仕向け地によってフェンダー処理などが変更され、各地のユーザーに合わせたモデルが生産されている。

 10代目の開発にあたり、トヨタ社内では新しいキーワードとして「e・NCV」が掲げられている。「e」には「エレガント」「エキサイティング」など、さまざまな意味が込められているが、最大の狙いは「エクシード(=超える)」、つまり現行NCVカローラを超えることが念頭に置かれている。

 e・NCVカローラの開発にあたり、定められた目標は以下の4つ。
1、全世界ベストセラーへの挑戦
 すなわち、世界一売れるクルマ作りにチャレンジ。97年までゴルフ・シリーズに勝っていたカローラは、98年にゴルフ・シリーズが年間販売100万台を突破して以来、長らく負けている。そこで10代目カローラは復権を狙い、将来的には年間150万台達成も視野に入れている。

2、新しい価値観への挑戦
 世界のユーザーをアッと驚かせる商品作りにチャレンジ。従来のトヨタ・ヒエラルキーにとらわれないクラスを超えた質感と内容で市場に新風を吹き込む。現行モデルがその役割を担っていた感もあるが、さらなる飛躍が目標とされる模様。

3、新しい開発方法への挑戦
 世界同時発売に向けた開発体制作りにチャレンジ。これまで国内で先にデビューした後、仕向け地によって登場までに時差が生じていたが、これを解消して全世界で一気に新型モデルを発売してインパクトを放つ。

4、開発スタッフ個々人の可能性への挑戦
 自らを飛躍させる仕事ぶりへのチャレンジ。社内の志気を高める狙い。

 シャシーには新開発のMCプラットフォームを採用。ホイールベースは30mm伸ばされて2630mmに達する模様だ。また、欧州向けはゴルフがベンチマークに定められており、操縦安定性、静粛性、乗り心地、安全性など、全面的にゴルフを凌駕。

 さらに、モデルライフ後半にはハイブリッド仕様もラインナップされる予定だ。こちらは200万円を下回ることが想定されており、一気にハイブリッドカーを普及させるトヨタの切り札となりそう。

カローラ・シリーズの仕向け地別販売台数(編集部予想)

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現行モデル

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9代目にあたる現行モデルはNCV(New Century Value)を合い言葉に掲げ、2000年に発表された。大幅な質感向上とパッケージングの見直しが印象深かった。


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