テストコースで擬装だらけの試作を捕らえてから、わずか1カ月。本誌スクープ班は早くも新型ファンカーゴの確定ナマ写真を独占入手することに成功した。詳細に目が行く前に、何よりも驚かされるのが、その正統派ぶりだ。99年にデビューした現行モデルはコミカルな雰囲気が強く、オモシロおかしい印象で若年ユーザーのココロをつかもうとしたが、新型モデルは一転、マジメな優等生を思わせるデザインに仕上がっている。
現行ファンカーゴは「前席」と「カーゴ」の分割された両スペースを外観デザインを通じて訴求してきた。ところが、新型モデルはボディ全体のカタマリ感を強調。とくにノーズからルーフへと至る傾斜の強いAピラーは前進感をかもし出しており、現行モデルにはない“速さ”を感じさせる。また、前述の「前席」と「カーゴ」が分断された印象を払拭すべく、センターピラーがブラックアウト化されてグリーンハウスに溶け込んでいるのも目新しい。傾斜したAピラーの採用により、フロントドア前方にサブウインドウが新設されているのも見逃せない。
フロントマスクにはツリ目ヘッドランプとメッシュグリルを採用。また、バンパー内には横長エアインテークが上下2段に配されており、ワイド感が強調されている。ボンネットフードにはAピラー下からノーズ中央へと向かうシャープなプレスラインが織り込まれている。
マスクとは対照的に、ボディ側面はシンプルだ。ドア断面もウインドウ下からサイドシルに向かってほぼ垂直に設計されているため、うねった面構成とは無縁。唯一、目を引くのがドア下方に彫られたキャラクターラインだ。
新型ヴィッツに続いてプラットフォームが刷新されるファンカーゴには、引き続き格納式リアシートが採用される。ただし、現行モデルではあまりにも座り心地が悪かったため、省スペースを維持しながら座り心地が向上。薄型燃料タンクの採用に加えてサブマフラーが後席下から助手席下に移されることでアンダーフロアのスペース効率が改善され、フィットに負けない高密度な空間が作り出される。
搭載エンジンは2SZ型1.3リットルと1NZ型1.5リットルの2タイプ。ともにCVTが組み合わされることで静粛性、燃費、そして走行フィーリングのすべてが洗練される。また、1.5リットルの一部グレードにはパドルシフト式シフトマチック(7速か)も装備され、意のままに変速操作が行える。
なお、4月号でもお伝えしたように、トヨタ社内ではレクサスISの総仕上げにマンパワーが割かれているため、新型ファンカーゴは当初予定されていた7月から3カ月ほど遅れて10月に登場する見通しだ。 |