誤って交通事故を起こし、人に怪我をさせれば業務上過失致死傷罪(刑法211条)という犯罪が成立する。アナタの場合もその可能性があるワケだから、「被疑者」として取り調べを受けるのはやむを得ない。被疑者の取り調べとは、警察官や検察官が犯罪の成否や処罰の必要性を明らかにするため、被疑者から詳しく事情を聴取することだ。基本的には警察官がまず取り調べを行ない、そのあと、警察からの報告をもとに検察官が取り調べを行なう。アナタの場合は逮捕されていないから、法律上は取り調べに応じる義務はない。ただし、出頭要請に応じないでいると、余計に悪く取られたり、下手をすると逮捕されることもあるたから、さっさと取り調べを受けたほうがいい。日程に不都合があれば警察署にすぐ電話連絡を入れて、日程の変更を申し入れること。取り調べを受ける際の最大の良策は、とにかく正直に答えること。自分が見たことや聴いたこと、思ったことや感じたことについて自分の記憶に忠実に、ということだ。アナタのように、「不利になったらどうしよう」などと考えないこと。
何が有利で何が不利かなどと考えると、大間違いをしでかす。軽率に「有利だ」と考えてどんどん不利になることもザラなので、真実は真実なんだとハラをくくるのが、結果的には一番いい。ただし、気をつけなければいけないのは、事情聴取がひととおり終わった段階で、取調官はアナタの説明をもとに供述調書を作成しようとする。取調官がアナタの話した内容を文章にまとめ、アナタが署名押印をするというのものだが、違う箇所があればそれを指摘して訂正を求めることができる。実はこの供述調書が裁判の時に最も重要な証拠になる。自分が納得できない記述があればすぐに訂正を申し入れること。もし訂正してくれなければ、供述調書への署名は拒否しよう。
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