道路標識は「公安委員会は、信号機または道路標識等を設置し、管理して、交通の規制をすることができる」という道交法4条に基づいて、都道府県公安委員会が設置・管理している。通行人や通行車両に見えてこそ設置した意味があるのだから、設置の細則を定めた政令には「歩行者、車両または路面電車がその前方から見やすいように設置し、管理しなければならない」とされている。したがって、当たり前のことではあるが、道路標識による交通規制が有効に存在しているというためには、道路標識が客観的に認識できる状態で設置されていることが絶対条件であり、見えない道路標識は、その標識自体が「ない」という扱いをしなければならない。
交通規制を一時的に解除するために、道路標識に黒布をかぶせている状態と同じだと考えればよい。もっとも、そんなことは反則キップを切った警察官もわかっているはずだから、きっとその場所は道路標識が確かに見えにくいけれども、絶対に見えないわけではないという、ややこしい場所だったのではないだろうか。そうなると、「見える、見えない論争」をしなければならないことになる。この場合、道路標識の設置方法について、「見やすいように」と規定されていることも忘れてはならない。つまり実質的には「見やすいか、見やすくないか」を論じるべきではないか。こういう場合はカメラを持っていて現場撮影しておけばとても有効だ。あなたの進行してきた方向から、運転席からの目線で、その道路標識の周辺を撮影しておこう。その現場の警察官も、あなたがきちんと証拠を残したとなると、いやおうなく冷静な対応を迫られるはずだ。結局、反則キップを切られたとしても、あとで争う時に大変効果的な資料として使えるからだ。
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