「いずれ大臣車もエコカーに」
火木は内閣の閣議が行われる。その関係上、各省庁で記者会見が行われる。オープンを公言しているのは金融庁の亀井大臣と外務省の岡田大臣だ。
この日は午前中に金融庁、午後から外務省へというスケジュールだった。毎回、同日に大臣会見が行われるので、スケジュールどりが難しい。しかもその時間は前日の夜、もしくは当日の朝にならないとわからないのだ。
そういう意味で、各省庁に記者を貼り付けていつでも会見に参加できる記者クラブというシステムもアリなのかもしれないと思った。しかし、それだけで仕事になるのであれば、楽といえば楽だ。もちろん報道のチェック、専門知識の勉強などは必要だが、いまの時代、それが必要ない仕事などない。
会見での話題の中心は普天間基地の移設問題とそれに伴う日米間、とりわけアメリカの思惑についてだった。普天間問題についての日本では議論が表立って見えていないというメディア側の苛立ち、ひいては鳩山首相のリーダーシップ、決断力のなさを叩く材料探しをしていると捉えられなくはなかった。
そんな話題で一色の中、空気をあえて読まず、質問をしてみた。
「外務省の公用車にエコカーは何台ありますか」
というものだ。その答えと問答は以下だ。
(岡田外相)
「私は知りません。事実関係は事前に聞いといていただければと思います。増やしたいと思っていますが、買い替えの時期もありますので。ただエコカーといわれる中にもずいぶん排気量が大きくてハイブリッドというのもありますから、その辺は常識的な線で考えていかないと」
――低炭素車であればハイブリッドカー、EVでなくてもと。
「価格の問題があると思います。エコカーだからというだけで選ぶのではなくて、そもそもCO2の排出量がどれだけかという考えでいきたいと思っています。ただ私もいまはけっこう大きな車に乗っていますけども、これはそういう大臣車ですから、買い替えの時にはいろいろ意見を言いたいと思いますから、それをいま変えろというのもまた無駄なことだと納得させています」
――いずれ納得したい方向に持っていきたい。
「そうですね」
大臣の言うとおり、事実関係の確認は外務省に一本電話を入れればわかったかもしれない。聞きたかったのはその後のエコカーの導入方針やCO2削減方針だったのだが、こちらの質問が甘かった。大臣のフォローに救われた気持ちだった。
質疑後、帰りの最中にジャーナリストの上杉隆氏に「いい質問でしたよ」と慰められた。
恥をかきながら、自分の質問力をを高めていくしかないと思った。(島田健弘)
外務大臣会見記録(要旨)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/gaisho/index.html
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