編集部blog
[2008/7/15]
【連載19】元「Xスクープ班」記者の、スクープ秘話
7-1)耐寒テストコース
耐寒テストコースの二大ポイントと言えば、やはりトヨタの士別テストコースと、ホンダの鷹栖テストコースだろう。
もちろん、スクープ記者にとっても、ふたつのコースに対する思い入れは深い。
まず士別テストコース。ここには、スクープのポイントがある。
テストコースのアクセス道路でもある国道239号は、コースの脇を抜けるあたりが、峠になっている。このため、峠の頂上あたりからだと、カメラの望遠レンズで、テストコースを疾走するクルマがよく見えるのだ。
ところが敵もさるもの。この峠の麓の両側には、警備車両を配置している。たいていの場合、ランクルとハイラックスのペアである。2台の連携は極めて良い。峠の頂上あたりで停車すれば、すぐさま。ゆっくりと走っているだけでも、2台のクルマが、私たちとの距離を縮めてくる。あんまり悠長に構えていると、警備員はいよいよ徒歩で事情を聞きにくるからやっかいだ。別に国道から写真を撮影するだけなのだから、そんな威嚇行為をやられても動じなければ良いのだが、新人のうちはこれだけで結構ビビってしまうものだ。
テストコース側からも、おそらく望遠鏡でこちらを覗いているのだろう。クルマから降りたらたちまち、あるいは、クルマから降りずに写真を撮っても、テストコース内の危険を知らせる黄色いランプが点灯する仕組みだ。写真撮影は、こんな具合に毎年いたちごっこをするのだが、ある年、こんなことがあった。こちらはレンタカーのリアシートにカメラマンが隠れている。その峠までは、普通に走っておいて、峠の頂上で、ほんの10秒ほど、やおらカメラマンが起きだして、見事テストコース内の撮影に成功した。
と思った瞬間、おそらく注意はしていたのだと思う。
2台のクルマが、私たちを追いかけてきた。真冬の士別である。晴れた日だと、昼間でも氷点下10度以下なんて平気だ。凍結した坂道をおそるおそる、でも急いで走る。その日はなんとか逃げ切ったが、翌日に再び行ってみると、すでにクルマのナンバーや形状が申し送りされていて、徐行すらできない雰囲気だった。それでも最早、写真は撮影した。2回目は結局、クルマを止めて、相手がよってくるのを待ち構えて、「写真とっても良いですか?」と言ってやった。もちろん、ちゃんと「マガジンXスクープ班です」と名乗ったよ。
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