月販目標台数は5000台、太陽電池もオプション設定
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コックピットにはブリッジ式コンソールが用いられて先進的なイメージがもたらされる。プッシュ式スタートボタンはステアリング左側に移設。 |
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ガソリン高という追い風もあり、空前のヒット作となった現行プリウス。原材料費の高騰を理由に、去る9月1日には強気にも価格が引き上げられたが、相変わらずマーケットでの注目度は高い。
一方、スクープ班では2年以上も前から3代目(開発コード590L)の真相を追い続けてきた。当初はリチウムイオン電池が搭載されて08年秋にデビューする予定だったが、電池の実用化が間に合わず、設計変更を余儀なくされて発売が09年春にズレ込む結果となったのは過去にもスクープしたとおりだ。
その次期プリウスが北米を走った。全身にカモフラージュをまとい、真っ白なボディはラジエターグリルまわりだけが黒く擬装されてGT-Rを思わせる出で立ちで現れた。しかし、あまりの重擬装でディテールやスタイリングがわかりづらく、そこから3代目の姿を読み取るのは難しい。「読者のみなさんがパッと見てわかる姿を捕らえなければ」。そんな使命感を背負って調査し続けたスクープ班が成果を得た。それが下に掲載した確定フォルムのナマ写真だ。
何度も報じてきたように、3代目プリウスはキープコンセプトのまま生まれ変わる。空力特性に優れた流線形のシルエットが踏襲され、前出しされたAピラー下には三角窓が引き続き設けられる。
…と解説してしまうと、いかにも代わり映えしないような印象になってしまうが、目新しいポイントも数多く含まれている。フロントではヘッドランプがアロー型に成型され、フェンダーパネルが突き刺さったかのような形状にデザイン。また、ドアミラーはフラッグ(旗)式に変わり、斜め前方の視界向上にひと役買う。前述の三角窓が拡大されている点も視界改善のポイントとして見ておきたい。
ボディサイドで目を引くのがシャキッとした印象を放つプレスラインだ。ヘッドランプ横からリアコンビランプまで一直線に設けられ、最近のトヨタ車に共通して見られるシャープな印象を演出。これこそ現行プリウスと3代目を見分ける最大の特徴として挙げられる。ちなみに、次期プリウスが発売された約半年後、09年秋からは同車をベースにしたプラグイン仕様が官公庁および企業向けにリース販売されるが、充電に必要なソケット挿入口はフロントフェンダーに設けられる予定だ。
気になるパフォーマンスも振り返っておこう。公称燃費は当初の目標だった40km/ℓには届かず、38km/ℓにとどまる。これは引き続き重いニッケル水素バッテリーを搭載せざるを得なくなったため。それでも太陽電池搭載によってベンチレーション(室内換気)およびエアコンの駆動に必要な電力がまかなわれるため、燃費向上が実現する。
搭載エンジンは1.5ℓから新世代の2ZR型1.8ℓに変わり、動力性能にも磨きがかかる。また、EVモードに加えてセンターコンソールにはPOWERボタンも新設され、場面に応じて出力制御を切り替えることも可能となる。初代に比べれば弱まったものの、いまだに「かったるい」という負のイメージが付きまとっている走りは力強さを増すに違いない。さらに、スポーティなツーリング仕様ではタイヤが17インチに拡大され、LEDヘッドランプも用いられる。
国内での月販目標台数は現在の実績と同等の5000台に定められる。トヨタ店とトヨペット店に加えてネッツ店およびカローラ店でも取り扱いが始まる見込みで、間口が広げられることで拡販が進みそう。ホンダが送り込む刺客インサイトとのガチンコ勝負も見もので、09年はハイブリッド・ウォーズのヒートアップが避けられないだろう。
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