モビリオ追従を図るのはトヨタだけじゃない。驚いたことに、日産もすでに「打倒!モビリオ」をめざしてライバル車の開発を始めているという。従来の日産は市場が飽和状態になった頃にようやく新型モデルを投入、ライバル車に客を持っていかれた後のおこぼれを拾う、といったケースが多かった。つまり、いつもワンテンポ遅かったのだ。
しかし、今回は違う。トヨタと同じく、日産も既存コンポーネンツをうまく流用して短期・低コスト開発を実施中。過去のような苦汁をなめることもなく、タイムリーに新型モデル発売へとこぎ着けるはずだ。
ベースに使われるのはルノーと初めて共同開発し、新型マーチでひと足先に採用されたBプラットフォームだ。既報のとおり、このプラットフォームは10月8日デビュー予定の2代目キューブにも流用され、日産のコンパクトカーに幅広く転用されていく。もちろん、今回ここで初スクープした日産版モビリオも含まれている。搭載エンジンは新世代CG型の1・4リットルになる見通しで、扱いやすいトルクフルなスペックと「超−低排出ガス認定」が取得できるクリーン性能が両立。
秋から試作の組み付けが始まる日産版モビリオは「YY−3Row」なる開発呼称が与えられている。「YY」は先に触れた次期キューブの開発コードで、これに3列(=英語ではRow)シートが設置されるゆえ、こんな呼称が使われているのだ。もちろん、本格的な開発が始まれば正式な開発コードが設けられる。ちなみに、試作を経た後、11月には1次生産試作が、03年2月には2次生産試作が組み付けられ、市販に向けて熟成が図られる。
いま現在、日産社内では基本方針の検討とデザイン開発が進められている模様。正式デザインは未定だが、限られた寸法の中で7人が乗れるキャビンを確保するため、四角いフォルムになることは間違いない。しかし、細部に日産らしさを盛り込むことでモビリオとの差別化が図られるはずだ。また、3列目シートは省スペース型のものが開発されており、場合によってはキノやヤンヤといったコンセプトカーで用いられた格納タイプが採用されるかもしれない。
日産はBプラットフォーム採用車の生産拠点を神奈川県・追浜工場に集約しており、このモビリオ対抗車もマーチやキューブ同様、03年6月から追浜工場で生産される。ゴーン社長指揮のもと、勢力を取り戻しつつある日産は、このほかにも秘密兵器を数多く用意している。
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