スクープ
2003年11月

ポルテ トヨタ
ショー出品車「NLSV」発売決定 市販名ポルテか!?

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ヘッドランプが大きくなり、横長グリルに代わってバンパー下部にエアインテークが設けられるNLSVの市販版「ポルテ」。そのまま実用化される助手席側の大型スライドドアが話題となりそうだ。

 ノア/ヴォクシー、ist、プレミオ、アリオン、WiLLサイファ(出品時はVC)、マーク2ブリット−01年東京モーターショーのトヨタ・ブースは“明日の新型車”を示唆するクルマが盛りだくさんだった。それに対し、先ごろ閉幕した第37回東京ショーでの市販予定車は、03年12月22日デビュー予定の新型クラウンと04年夏に追加ラインナップされるであろうハリアー・ハイブリッド(出品名SU-HV1)の2台しか見当たらず、あとは夢にあふれたコンセプトカーと発売されたばかりの市販車がオンパレードだった。

 だが、その中の1台、まさかと思われていたクルマが04年にも市販されることをスクープ班がつかんだ。そのクルマとは、ニュー・ライフ・サポート・ビークルの頭文字を取った「NLSV」だ。ショーでは助手席側の電動大型スライドドアと平らなインテリア床面がアピールされていたが、もちろん市販モデルにもこれらのポイントはしっかりと踏襲される。ちなみに、02年開催の第36回東京モーターショーに参考出品されていたALSV(アクティブ・ライフ・サポート・ビークル)は、現行ラウムのショーモデルだった。

 具体的なディテールを見ていく前に、まずはネーミングの有力候補をお伝えしておこう。独自の情報源を駆使して取材を行ってきたスクープ班は、車名が「P」で始まるとの情報を入手。かわいらしいフォルムと手頃なサイズから「ポシェット」を予想したが、かつてホンダがトゥデイの特別仕様車に用いたこともあり、すでに商標登録されていた。そこで、さらに調査を続けることで浮上したのが「ポルテ」だ。

 NLSVのフロントマスクにはbBを連想させる四角い薄型ヘッドランプが備わっていたが、市販時には縦方向に拡大されて角丸デザインに変更。より親しみやすい表情が作り出される。ノーズまで回り込むボンネットフードによってグリルレスマスクが構成され、CIエンブレムはバンパーに食い込むことなく、フード垂直面に貼り付けられる。一方、バンパーにはヴィッツ同様、ヘッドランプ内側の輪郭線から立ち上がるキャラクターラインが下方まで伸ばされ、グリルレスを補う目的で大型エアインテークが設けられる。
ショー出品車

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突然ショーに出品されたbB似のマスクを持つコンセプトカー。大きなスライドドアは非現実的に思われたが、そのまま市販されることが判明した。
こんなスライドドア採用車も
プジョー・セサミ

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スズキ・アルト スライドスリム

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 1枚の大きなスライドドアと聞いて多くの読者が思い出すのが、02年パリサロンに参考出品されたプジョーのコンセプトカー「セサミ」だろう。こちらはNLSV(ポルテ)より短く、全長わずか3.7mだ。106の後継車として04年にも発売される見通しで、すでにテスト模様もスクープしている。一方、かつて国内で販売されたスライドドア採用の小型車といえば、3代目アルトの「スライドスリム」が思い浮かぶ。狭い場所での乗り降りがラク、との触れ込みで売り出されたが、発売当初は半ドアから全閉状態になるオートクローザーや電動スライド機構もなく、ドアの重さがネックとなっていた。

合言葉は「スマート・ライフ・サポーター」
開発コード980N掲げトヨタ車体が開発中

増殖し続けるヴィッツ家系10番目の兄弟もヒット確実

 マスクでもっとも目を引くのがフォグランプの形状だろう。バンパーの凹みに丸型ランプが装着されるが、その凹みは下半分が丸、上半分がスクエアという奇をてらったデザインに仕上がる。そのほか、コスト高につながるドアミラーウインカーの代わりにオーソドックスなサイドマーカーが用いられるなど、市販車らしく手直しが施される。

 ポルテは大型スライドドアがウリとなるため、荷物を積み込む作業もクルマの横から行う頻度が多くなり、ハッチゲートを活用するシーンは少なくなりそうだ。しかし、それでもリアにはハッチゲートが設けられ、ボディ形状はHBに分類される。ヘッドランプと同じく、コンビランプも上方向に拡大されて丸みを帯びたデザインに処理。NLSVではメッキガーニッシュが貼られていたウインドウ下端は、じつは凹んでいることが判明した。当然、リアワイパーや電磁式オープナーも加えられる。なお、バンパーとの連続感を演出するスムージング処理は省かれ、バンパー上面が露出する形状となる。そのバンパー両サイドには保安基準で定められているリフレクター(反射板)が組み込まれるが、ここで見逃せないのがフロントのフォグランプとデザイン処理が統一されている点だ。すなわち、丸と四角を合体させた凹みに丸いリフレクターが装着される。

 ポルテはNBCファミリーの一員に属するため、ヴィッツ系のコンポーネンツを流用。プラットフォームやサスペンション、搭載エンジンなど、基本的にはヴィッツ系と変わりない。インパネ骨格も用いられるのか、内装ではセンターメーターレイアウトも見える。前後に大きくスライドする助手席シートとチップアップ機構を備えるリアシートは多彩なアレンジが可能だ。

 ところで、ポルテの開発は随分前から行われており、これまで一進一退が繰り返されてきたが、ようやく日の目を見ることになった。開発を担当しているのはグループ会社のトヨタ車体で、社内では「SLS(スマート・ライフ・サポーター)」の愛称で呼ばれているという(開発コードは980N)。主にミニバンなどの大空間モデルを生産している同社は、03年8月に丸5年のモデルライフに幕を下ろしたナディアも担当しており、奇しくも、こちらの社内呼称も「SLS(セダン・ライク・SUV)」だった。最近では2代目ガイアを途中まで手がけたものの、マンパワー不足が災いしてゴタゴタが生じたりもしたが(下のコラム記事参照)、いまは04年夏以降の発売をめざしてポルテの開発に専念しているとのこと。

 ラウムに続くユニバーサル・デザイン採用車でもあるポルテは、独自の特徴がコンパクトカー市場で高い注目を集めるだろう。
  ショー出品車

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バックウインドウが下方に伸ばされるなど、フロントに比べてリアビューのほうが変更点が多い。フロントフォグランプ・ベゼルの半円形モチーフはリアバンパーの反射板にも用いられる。
とばっちりを受けたガイア

助手席側センターピラーが省かれ、高い実用性が確保される新型ガイア。04年5月にデビューが予定されている。
本誌でひと足先にスクープしているガイアは既報のとおり、ラウムと同じセンターピラーのないパノラマオープンドアがウリに掲げられる。本来なら03年夏にも発表される予定だったが、スケジュールに約1年の遅れが生じており、いまでは04年初夏に登場する見通しとなっている。じつは、この遅れの原因となっているのが左にスクープしたポルテなのだ。当初、ガイアはトヨタ車体で開発が行われていたが、途中でポルテの市販化が決定。開発業務のひとつに押し込まれたポルテが影響を及ぼし、トヨタ車体の開発現場はひっくり返るほどの混乱ぶりだったとか。紆余曲折したものの、ガイアとポルテ、2車種の業務を並行して行うことが難しくなったトヨタ車体は最終的に白旗を挙げてしまった。その結果、途中まで開発が進んでいたガイアは関東自動車工業に移管され、トヨタ車体はポルテに専念。結局、ガイアは開発現場の混乱をモロに受けて登場が遅れてしまったワケだ。
●はみ出し情報●
開発コード110Lの次期ファンカーゴは既報のとおり、05年8月にデビュー。ただし、ヨーロッパへの輸出は中止され、国内専売に転換される。ヤリス・ヴァーソ(現地名)の行方は!?


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