スクープ
2005年 9月

 レクサスLS  トヨタ
 初代セルシオ誕生から16年 次代を担うLS完全ナマ写真 本誌独占ワールドプレミア

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海外のみならず、日本国内でもセルシオ改めレクサスLSの名称で発売される4代目のナマ写真。歴代セルシオよりシャープな印象が強く、レクサスのデザインテーマでもある精妙な造り込み「Lフィネス」が色濃く反映されている。
■全長×全幅×全高 5015mm×1870mm×1460mm(標準)
5135mm×1870mm×1460mm(ロング)
■車両重量 1775kg〜1975kg
■乗用定 5名
■搭載エンジン 4.6リットルV8
5リットルV8ハイブリッド
■サスペンション形式 4輪マルチリンク式

 国産産ラグジュアリーサルーンと言えばメッキ類を惜しみなく使った演歌調が当たり前、との常識を覆してヨーロッパ勢と並べても恥ずかしくない新しい高級車像を作り上げたセルシオ。16年前に発売された時、600万円を超える価格に日本中が騒然としたのは周知のとおりだ。一代で名声を築き上げ、日産が同時期に投入したインフィニティQ45の追従を許さなかったのも、近年の自動車業界のトピックとして見逃せない。

 その“日本最高峰の高級車”の代名詞ともなった「セルシオ」ブランドに06年夏、ピリオドが打たれる。理由は説明するまでもなく、レクサス・ブランドに移行するからだ。海外では初代モデル以来、ずっとレクサスLSの名称で販売されてきたが、国内でも同チャンネルが展開されたのを受けて次のFMCを機に名称が変更される。

 既報のとおり、開発コード250Lで呼ばれている4代目LSは10月21日に開幕する第39回東京モーターショーで初めて披露される。すでに発売されたアリスト後継車のGSや、2年前に出展されたコンセプトカーLF−Sからヒントを見つけ出すことも可能だが、10月号で確定イラストを掲載した本誌では一般公開に先んじて新型LSを独占公開。もちろん、本誌スクープ班だけが完全ナマ写真を入手することができたからこそ、為しえる技だ。

 前置きが長くなったが、上に掲載したサイドビューが新型LSの流麗なシルエットを捕らえたワンショットだ。レクサスのデザインテーマでもある「Lフィネス―先鋭と精妙の両立―」に基づいて造型された結果、歴代セルシオに比べてシャープな印象が強まった。当然、高級サルーンにふさわしい品格とオーナーの所有欲を満たす質感は保たれており、よりレベルの高いデザインが完成しているのは見てのとおり。

 スッキリとした仕上がりおよび組み付けの良さを強調するプレスドアは初代と2代目に用いられたものの、現行セルシオでは通常のサッシュタイプに変わった。4代目でもメッキ仕立てのサッシュが採用され、グリーンハウスの周りにさりげない高級感と華やかさがもたらされる点は変わりないが、やはり見逃せないのがウインドウグラフィックスの処理だ。リアドア後端でウインドウ下が切れ上がっているのはGSとISに取り入れられている手法で、レクサスらしさをかもし出すためにLSでも採用。また、ドア下方にメッキトリムが装着されている点も現行セルシオと異なる部分だ。逆にフロントバンパーからドアパネル、リアバンパーにかけて装着されてきたモールは廃止されており、スッキリ感が向上している。

 LSには写真の標準ボディに加え、ショーファードリブン需要を狙ったロング仕様もラインナップされる。こちらはリアドア部分が120mm伸ばされ、その延長分はそっくり後席足元に充てられる。全長は標準ボディが現行セルシオと同じ5015mm、ロング仕様が5135mmとなる見込みだ。

 フロントマスクにも歴代セルシオに用いられてきたデザイン処理が踏襲される。すなわち、ヘッドランプとラジエターグリルの間にはボディ色部分が設けられ、グリルの存在感が引き立てられる。GSとISのラジエターグリルは縦線基調にまとめられて「これもレクサス車共通のデザイン要素なのか?」と思わせる節もあったが、LSはセルシオゆずりの細い横ルーバーを採用。当然、グリル中央にはレクサスのCIエンブレムが装着される。

 セルシオのフロントバンパー下方にはワイド感を視覚的に訴求する横長のエアインテークが設けられてきたが、LSでは左右2分割に変更。ちょうどナンバープレートが装着される部分は塞がれ、真正面から眺めるとボンネットフードから続くV字ラインが強く主張している。このデザイン処理はマークXにも似ているが、1900mmに迫る全幅のおかげで、スケールの違う迫力と堂々としたたたずまいが実現されている。エアインテークの外側にはフォグランプが配される。

 前方に向かってV字ラインで絞り込まれているため、ボンネットフードの開口幅は現行セルシオより狭くなる。その内側には再び排気量が300cc拡大されて4.6リットルに達するV8エンジンが搭載されるが、5リットルV8と電気モーターの組み合わせによるハイブリッド仕様も併せてラインナップされ、6リットル級の動力性能と3リットル車並みの低燃費を両立。どんな大排気量サルーンをもってしても、電気モーターによる圧倒的な加速力にはかなわないだろう。

 フロントマスク以上に重厚感が漂っているのがリアビューだ。おなじみの左右独立コンビランプは台形からスクエア基調に整形され、初代および2代目セルシオを思い出させる形状にまとめられる。ストップランプにはLEDが採用され、ターンシグナルとバックアップランプはランプ内の上方、クリアレンズ奥に配置。また、トランクリッド中央のナンバープレート用スペースはヨーロッパの横長サイズも収まるよう、広い面積が確保されている。そしてバンパー下方にはマークXで初めて起用されたディフューザーが同様に装着され、スマートな印象がもたらされる。

 いかがだろうか。トヨタが精魂込めて開発してきたLSに宿る「Lフィネス」の精神を十分に味わっていただけたはず、とスクープ班では自負している。残すは幕張メッセでスポットライトを浴びて“国産最高峰”のオーラを放つ実車を見るだけとなった。モーターショー開幕を心して待つべし!

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フロントマスクには歴代セルシオに受け継がれてきた横線基調の逆台形グリルが与えられ、風格ある表情を継承。バンパー内エアインテークが左右に分割されている点が目新しい。 左右独立コンビランプとトランクリッド設置のナンバープレートにより、セルシオで培われたテイストはリアビューにも織り込まれる。バンパー下方にはディフューザーが見える。
セルシオの歴史

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●初代〈89年10月デビュー〉
世界中の高級車メーカーに衝撃を与えたと言われる初代はバブル経済の真っ只中、89年にデビュー。クラウンとは異なる洗練されたデザインが人気を集めた。600万円を超える価格も話題を呼んだ。
●2代目〈94年10月デビュー〉
成功を収めた初代の雰囲気が色濃く残され、キープコンセプトのまま2代目へと生まれ変わったのが94年秋。ホイールベースが延長され、専用チューンドサスペンションを持つeRバージョンも追加された。
●現行3代目〈2000年8月デビュー〉
約6年を経て登場した3代目。エンジン排気量は300cc大きい4.3リットルに拡大され、最高出力280psを保ちつつトルクも増強された。03年のMCでは6速ATやプリクラッシュ・セーフティを新搭載。


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