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スクープ!!ホンダ・ジェイドの予防安全試験、なぜランニングチェンジ前と後のクルマがなぜ同時発表だったのか? 「メーカーに肩入れしたのではないか?  そう取られても仕方ない(NASVA)」

2015.11.19

スクープ!!ホンダ・ジェイドの予防安全試験、なぜランニングチェンジ前と後のクルマが同時発表だったのか?
「メーカーに肩入れしたのではないか?  そう取られても仕方ない(NASVA)」

自動車事故対策機構(NASVA)は、車種別衝突安全性能評価(JNCAP)を主宰している。この費用、マガジンXで何度も触れているように、私たちが支払っている自賠責保険から拠出されている。

http://www.nasva.go.jp/mamoru/index.html

そのJNCAPが昨年度から始めたのが、予防性能アセスメント(ASV評価)だ。いわゆる「ぶつからないクルマ」の性能を評価するもの。ただし、衝突安全性能評価と同様に、自賠責保険のお金で試験をするだけに予算は限られているため、メーカーの費用持ちでASV評価を実施する割合が多い。最近も、多くの新車がASV試験をメーカー負担で受け、随時、JNCAPの公式サイトやYouTubeで、結果が公開されている。

で、昨日、11月18日、ASV評価としては初めて異例の結果公表が行われた。ホンダが今年2月に新発売したジェィドについて、ホンダセンシング改良前と改良後の2種類が搭載されたクルマが同時に結果公表されたのだ。ツィッターでも報道したので、JNCAPのサイトをご覧になった方も多いと思う。

http://www.nasva.go.jp/mamoru/active_safety_search/list_search_honda.html

YouTubeで「ジェィド1」「ジェイド2」と表現された2つクルマの公表結果。よーく見ると、新しい車台番号(FR4-1015238以降及びFR5-1002202以降)のクルマは、被害軽減ブレーキテストで32点満点の32点を獲得している。一方、発売直後のもうひとつのジェイドでは、同32点満点中8.5点しかとれていない。試験なら明らかに落第点だ。

NASVAの担当者に話しを聞いた。

記者「2つのジェイドのASV試験結果を同時発表したのはなぜか?

NASVA「希望試験(費用をメーカーが負担する試験)の公表時期はメーカーが決めることができる」

記者「落第点を取ったからあわてて試験対策を施し、試験を受け直したのではないか?」

NASVA「JNCAPの費用で行っている試験については、前期と後期の年2回の公表が原則。試験結果の公表を意図的に遅らせたわけではない」

記者「ジェイドの試験はいつ行ったのか?」

NASVA「最初は7月。二度目はお答えできない」

記者「ホンダセンシング搭載車はこれまでASV試験結果が公表されてこなかった。ホンダセンシング搭載車の試験結果を順次公表していれば、成績の悪いASV評価を見て消費者がジェイド購入をためらったのではではないか」

NASVA「それは分からない」

記者「試験実施時期なりに公表せず、対策前と後のホンダセンシングを同時公表したことで、ジェイドの悪い方の印象が薄まると考えるのが一般的だろう。メーカーに肩入れしたのではないか。」

NASVA「そうは考えていないが、結果的にそう取られても仕方がない」

NASVAは、「他にも理由があるが、理由は公表できない」と話す一方、「記者の指摘は理解できる」とし、「ご意見があったことは受け止める」と話した。対策された方のジェイドの試験時期は、おそらく9月下旬から10月初旬と思われる。前期型の試験から3カ月程度で試験対策を施されて、ジェイドは再試験を受け、満点を取ったことになる。ホンダの市販車に対する姿勢が問われるし、3カ月で対策がとれるなら、初めからしっかりした製品を出すべきと考える。もっとも満点をとったホンダセンシングも、NASVAが認めているとおり「ある条件下での結果」である。本誌では、ホンダセンシングの前身である「CMBSの不具合」を追い続けている。1月号ではついに「ユーザーが裁判を提起」記事を掲載した。

衝突安全装備にいまだ完全なものは存在しない。だからこそメーカーも評価するJNCAP側も真摯な対応と迅速な情報公開が求められる。次はNASVAを所管する国交省とホンダに取材に行かなければならない。

取材・文/マガジンX編集長 神領 貢

 


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